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MITSUBISHI
Equipment&Spec(三菱i(アイ)写真・主要装備&仕様)
Feb.2006

MITSUBISHI i
三菱 i(アイ)試乗インプレッション)


今回試乗した車は、エンジンをリヤにミッドシップレイアウトした軽自動車、三菱i(アイ)であ
る。 『i』の意味するところは、特にカタログには謳っていないが、聞くところによると『私』、『個性』、『想像』、『知性』、『革新』などの頭文字『i』を指すという。シンプルな車名ではあるが、だから故に文字通り個々人のイマジネーションが掻き立てられるという意味で面白い。
今回三菱i(アイ)が採用したリヤミッドシップレイアウト方式は、ダイムラークライスラーのスマートフォーツー(2シーター&リヤミッドシップレイアウト)に対して三菱独自のコンセプト(Stylish,Sporty,Safety)を掲げ、大きなモディファイ設計に挑んだものといえるだろう。モディファイなどというと怒られるかもしれないので補足するが、あくまでミッドシップレイアウト方式からの発想を基点とした意味合いから申し上げた。いずれにせよ熱き情熱を持った技術屋さんの手によって『i(アイ)』というフレッシュエアーが三菱再生の大いなる切り札として市場に送られたことを評価し、見守りたい。
グレードは、S,M,Gの3タイプでいずれにも2WDと4WDの設定がある。今回試乗したのはミドルグレードのMで2WD車である。


1.エクステリア
三菱i(アイ)の曲面を多用したフォルムは、宇宙船を連想させる。フロントガラスのエリアは広大で3次元曲面で繋がるフォルムが美しい。リヤウインドウも曲率が大きく、それがまた愛らしく映る。
Rに拘った造形は、先進性、親しみやすさ、愛らしさを実にうまく同居させている。
リヤミッドシップレイアウトへの拘りが充分に理解できるエクステリアに仕上がっていることを高く評価したい。

2.インテリア
目に触れるもののすべてが、すっきりとしていて全く嫌味がなくこぎれいにレイアウトされている印象だ。誰にでも受け入れやすく、しかも高品質で居心地がいい。
インテリアを見渡すとエクステリアから受けるR的造形への拘りがしっかりと感じられ、外にいても内にいてもi(アイ)という車らしさが表現されているところがいい。シフトノブ、シフトを刻む化粧パネル、インナードアハンドル、センターコントロールパネル、インストルメントパネル上部などなど、しっかりと拘りが表現されている。

3.シート
フロントシートの掛けごこちは、体が自然体で収まることと腰部が適度に押される感覚がここちよく、長距離ドライブもこなせると直感した。また、サイドのフォールド感も上々であった。
リヤシートは、フロントと比べてはいけないが、当然サイドの張り出しはなく滑りやすいので後席へ乗車する方へ配慮した運転マナーを心がける必要がありそうだ。

4.変速機(4AT)
ミッションは、電子制御4速ATであるが、運転モードのシフトパターンは、D、3、2HOLDの3パターンが用意されているので気分によってセレクトできるのはうれしい。
Dレンジ固定の場合、アクセルを深めに踏み込む機会が多ければ、当然キックダウンを多用することになるわけで、こういった加速感のある走りを望む場合には3レンジ(3速シフト)がいい。4ATの変速ショックは、ゆっくりとしたアクセルワークを心がければ、不満のないレベルであるが、キックダウン時のショックは努力の余地を感じるのである。但し、1.5年程前に試乗したekアクティブ(ターボ車)の4ATと比べれば、大いに進化が感じられるものだ。
3レンジ(3速シフト)での走行感覚は、やや交通の流れの速いところであってもi(アイ)をなんらストレスなく走行させることが可能だ。
2速ホールドでは、3レンジと比較して極端な速さが手に入るというものでもないが、変速からの煩わしさから解放され、アクセルのON、OFFだけで走行させる感覚は、ゴーカート的で楽しい。
2速ホールドは、ワインディングロードを果敢に攻める為の小技として三菱の技術者が用意してくれたものと勝手に解釈させていただくこととしよう。

5.アクセルワーク
アクセルを開けてもターボらしい加速感が全く感じられないのである。いわゆる車がスーと前に押し出されていく感じがないのである。ライフターボでは僅かなアクセル開度でスーと車が軽やかに出て行くのだが、i(アイ)にはそういった感覚がないのだ。インタークーラーターボ車だと言われなければ、恐らく分からずに一生乗り続けてしまうほどに自然な味付けなのだ。個人的にはターボ車らしいトルク感が感じられる、少し刺激的な方向に振って欲しいと感じた次第である。
まあ体感的にはアクセルワークに対して鋭さは、持ち合わせていないがアクセルをそれなりに踏み込めばストレスなく80Km/hの車速に達すると報告しておきたい。

6.エンジン音
RRだからといって判官びいきをしても、静粛性に優れるとは個人的には感じられなかった。明らかに軽であることを主張する音は、辛い。ekアクティブよりは音色的、音圧的な改善が感じられるものの、ライフターボ&スバルR2 S(スーパーチャージャー)を持ち出して恐縮だが、静粛性ではライバル2車に軍配が上がる。
i(アイ)のエンジンはリヤの床下に収められ、鉄板のカバーで覆った上に見た目6〜7cmの防音材兼断熱材?カバーによって遮音する方策だから贅沢はいえない。

7.ステアフィール
電動パワステは、個人的にはやや軽めな印象だが妙な引っかかり感は皆無で、操舵力は一定の重さ感であり全く問題はない。(万人受けの優れものだ。)路面との濃厚な対話感は、期待出来ないが、直進性が良くステアリングに軽く手を添えているだけで、全く気を使うことがないのは○である。たとえ遠出をしても疲労感が少ないステアフィールであると推測する。
ステアリングをゆっくりと左右に動かしてみると、それに追従して素直にノーズが反応する。角速度を速めたときの挙動は、同乗者を驚かすほどの鋭いレスポンスではなく、比較的落ち着いた挙動を示すが決して鈍くはなく、軽快感がある。万人受け+αと言った感じのレスポンスだ。また、リヤがしっかりと踏ん張っている感覚を伴うもので、安定していて安心感の高いフィールである。

8.ブレーキフィール
ブレーキのタッチには感心した。踏力に応じた実に素直な制動力が得られるのだ。これは気に入った。遠出をしてもこのタッチを損なわないのであれば、精神的な疲れは半減すると思う。また、80Km/h程度の速度域からの通常のブレーキングであれば、不快なノーズダイブなどとは無縁だ。

9.乗り味
試乗コースには故意に速度を落とすことを促す為の背の低い凹凸パターンがあり、そこを60Km/h〜70Km/h程度で抜けた時の乗り心地をいえば、良く足が凹凸に対して追従していると感じさせるもので、かつ車体が不快な凹凸を伝えてくるものでもない。感動とまではいかないが、軽自動車としては上々の乗りごこちと評価しておきたい。

10.コーナリングフィール
RRゆえの挙動を試してみたく、70Km/h程度の速度域で中速コーナーへ侵入し、ブレーキを少し踏んでみたりとやや遠慮がちのトライを試みたが、この程度では車からバカにされてしまったようでリヤはガッチリと路面を捉えていた。万人受けの安心感の高い安定志向のセッティングといえそうだ。したがって、下りのワインディングロードでブレーキを残してリヤを少し出しながら、リズムに乗って普通車を追いかけ回すワザを身につけたければ、i(アイ)のオーナーに志願するしかない。





SUBARU R2(S),HONDA LIFE F(TURBO)との主要ディメンション比較(下表参照)

注)各々競合車に対して優位となるディメンションに対しては、車種のパターン色と同色とした。
車種 MITUBISHI i SUBARU R2
typeS S
HONDA LIFE F
Turbo
全長(mm) 3395 3395 3395
全幅(mm) 1475 1475 1475
全高(mm) 1600 1525 1575
ホイールベース
(mm)
2550 2360 2420
トレッド
(mm)
1310 1295 1305
1270 1285 1300
室内
(mm)
長さ 1775 1690 1805
1270 1220 1275
高さ 1250 1180 1285
最小回転半径
(m)
4.5 4.8 4.5
タイヤ 145/65R15 155/60R15 155/65R13
175/55R15 155/60R15 155/65R13
駆動方式 RR FF FF
Note) 上記各ディメンションは、MITUBISHI i;06/1時点、SUBARU R2;05/11時点、HONDA LIFE;04/10時点における各メーカーカタログ記載値に基づく。
1.ホイールベースは、iがR2に対して+190mm、LIFEに対して+130mmと圧倒している。
2.トレッドについては、前;1310mmで絶対値ではiだが、仮にLIFEに145タイヤを履かせたと仮定した場合、計算上(タイヤの外面位置を同一とした場合)では1305mm⇒1315mmとなり、LIFEの踏ん張り度も侮れない。
3.i(アイ)の室内の広さは、長さ、幅、高さ方向すべてでLIFEに一歩譲る。
4.i(アイ)のタイヤサイズは、R2及びLIFEが155幅に対してRR駆動らしくリヤ175/55R15が目を引く。

以下、動力性能面、価格面及び燃費についてSUBARU R2 typeS S及びLIFE F TURBOと比較した。(下表参照)
注)各々競合車に対して優位となる数値に対しては、車種のパターン色と同色とした。
車種 動力性能面 価格面 燃費
(km/L)
A
重量/馬力
(Kg/PS)
B
重量/トルク
(Kg/Kg.m)
C
A×B
(Kg2/PS・Kg.m)
価格/リッター
(¥/L)
価格/馬力
(¥/PS)
MITSUBISHI i M 14.1 93.8 1323 2,078,907 21,406 18.4
SUBARU R2 typeS S 13.0 79.1 1028 2,188,450 22,500 18.8
HONDA LIFE F TURBO 13.6 91.6 1246 1,940,729 19,953 18.8
NOTE)

1.表記の燃費値はMITSUBISHI i;06/1時点、HONDA LIFE F TURBO;04/10時点のメーカー公表値
2.燃費値を除く表記の数値はMITSUBISHI i;06/1時点HONDA LIFE F TURBO;05/1時点(価格)及び04/10のメーカー公表値を用いた計算値
3.価格面の計算に用いた車両価格は、各車両の装備面での差異を考慮し、夫々以下のオプションを装備した価格とした。
MITSUBISHI i;\1,320,000(消費税抜き)+ディスチャージヘッドランプ\1,370,000(消費税抜き)(i;キーレスオペレーションシステム&オートA/Cは標準装備)SUBARU R2 typeS S;\1,355,000(消費税抜き)+ユーティリティーパッケージ(助手席マルチユーティリティシート、助手席アンダートレイ、サブトランク、スマートキーレスシステム、イグニッションキー照明)+2灯式HIDハイ&ロービームランプ=\1,440,000(消費税抜き)オートA/C標準装備)HONDA LIFE F TURBO;\1,160,000(消費税抜き)+ホンダスマートカードキーシステム+オートA/C、ディスチャージヘッドランプ=¥1,277,000(消費税抜き)

・動力性能面[上表C値(動力性能の一つの指標)]では、SUBARU R2 typeS Sが優勢である。
・価格面では、HONDA LIFE F TURBOが優位である。

燃費においては、SUBARU R2 typeS SとHONDA LIFE F TURBOが同値で、iがやや劣る。
・上記3車種による比較に限って言えば、iは動力性能面、価格面、燃費面のいずれにおいてもアドバンテージを有していない。(参考まで)


街の試乗屋のコメント(補足)
1.フロントシート、ブレーキ、素直なステアフィールをもって、遠出が出来る軽自動車であると感じた。だが、エンジンノイズは、長距離ドライブにはマイナスだ。また、フロントに比べて長距離では持たないと思われるリヤシートでは、長距離ドライブは、2名限定となろう。惜しい。

2.安全面についてだが、HONDA LIFEのカタログには前面フルラップ衝突;55Km/h、前面オフセット衝突;64Km/h、側面衝突;55Km/h、後面衝突;50Km/hと具体的な数値で衝突安全性を謳っているが、MITSUBISHI i(アイ)のカタログにはその具体的数値がないのは残念でならない。
三菱再生のキーは、安全安心をアピールすることだとすれば、例としてリヤからの衝突時についていえば、”後面衝突時にはエンジンが壁となって衝撃を受け止める構造として、安全性をいっそう向上しています。”と謳うだけでは、不充分だろう。ここは、後々実験データを公表していただきたいと考える次第である


3. 三菱iのシート生地には、”人の健康に害を与える有害物質を含んでいないことを保証する”日本車初の「エコテックス規格100」認証取得というお墨付きが与えられているという。他にも消臭天井等VOC(揮発性有機化合物)低減への様々な取り組みを自主的に実施しているのだという。
こうした取り組みは、企業の社会的責任の上からは、極めて重要なのだが、意外にユーザーに届き難い地味な活動になりがちなだけにカタログ等にもっと積極的に謳いアピールすべきだ。

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