私は、街の試乗屋さん

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July.2004
SUBARU R2 IMPRESSION 
スバルR2試乗インプレッション


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富士重工の前身は、1917年に遡るが『中島飛行機』である。R2のフロントグリルは、翼をモチーフ
にしたデザインとなっている。カタログには、「乗る人が主役になってどこまでも羽ばたけるように・・・」とある。自由と対極にあった時代のことなど眼中にないという勢いの”アンドレアス・ザパティナス”をSUBARUチーフデザイナーに迎えたことは正解だ。
フロントマスクにあるアルファロメオおなじみの盾型グリルを180°回転させたかの様なグリル形状は、アンドレアス・ザパティナス氏の遊び心がそのまま反映されたに違いないなどと想像させる洒落っ気も面白い。エクステリアは何処から見ても楽しくなるし、どの車とも似ていないと感じられるところも評価できる。
グレードは、i(ベーシックグレード)、R(iに対してABS、アルミなど装備充実グレード)、S(スーパーチャージャー付パワフルグレード)で購入する側にもシンプルで分かりやすい設定だ。組み合わされるトランスミッションは、Rとiには5MT&i-CVT、Sにはセレクトレバーを+,-に操作することによってマニュアル感覚のシフトが楽しめる7速スポーツシフトi-CVTが奢られている。ホイール径はRとiが14インチ、Sのみ15インチとなっており、組み合わされるタイヤサイズはRとiは155/65R14、Sは155/60R15である。
税抜き車両本体価格は、2WD各々オーディオ付i-CVT仕様でi:\910,000、
R:\1,120,000、S:\1,300,000である。余計なことだが、リッター当たり価格は、i:138万円、R:170万円、S:198万円である。このようにリッター当たり価格という視点で見てしまうと相当に高い。軽自動車であっても装備の充実、安全面を十分に考慮しなければならないとすれば、この数値はある意味納得せざるを得ないともいえるがリッターカーとの戦いにおいて明らかに不利である。軽は、税金が安いということがメリットの一つであり購入動機の一つとなっているが、個人的に言えば軽自動車固有の何か?+アルファがなければ本質的な魅力を持ち合わせていないということになると考えている。(現時点出来るできないは別として、プライスを抑えながら例えば燃費を40Km/L以上,軽を超えた上質な乗り味等の差別化が欲しい。)
さてボディーカラーは、ELEGANT COLOR;5色、SPORTY COLOR;6色、合計11色でELEGANT COLORと組み合わされる内装色は、アイボリー(オフブラック内装との組み合わせは、受注生産)、SPORTY COLORと組み合わされる内装色は、オフブラック(アイボリー内装との組み合わせは、受注生産)である。尚、各々のボディーカラーは英語名だけでなく日本語の呼称が併記されており、かつ日本語呼称に風情を感じたので参考までに総て紹介しておく。@アストラブルー・オパール;空(Sora)Aライトパープル・オパール;菫(Sumire)、Bレディッシュモーヴ・オパール;杜若(Kakitubata)、Cビスタチグリーン・オパール;松葉(Matuba)、Dシルキーホワイト・パール;真珠(Shinju)以上@〜DELEGANT COLOR Eプリズムブルー・メタリック;瑠璃(Ruri)、Fベリーレッド・メタリック;紅(Kurenai)、Gシャイニーシルバー・メタリック;純銀(Jungin)、Hピュアホワイト;雪白(Seppaku)Iクリームイエロー・パール;向日葵(Himawari)、Jオブシディアンブラック・パール;漆黒(Shikkoku)以上E〜JSPORTY COLORである。
内装色について言えば、個人的にはアイボリーの内装とフロスティパール色のインストルメントパネル(これは、標準装備)との組み合わせが上質感を醸し出しており好みだ。
安全装備面では、運転席に肩部と腰部の拘束性を高めたダブルプリテンショナーを標準装備、後面衝突に対応するフロント・アクティブセイフティシートとSRSサイドエアバックはセットでメーカーオプション設定。又、歩行者保護の取り組みとして、衝撃吸収フード(フードとエンジンとのクリアランスを確保)、衝撃吸収バンパー、衝撃吸収フェンダー他を積極的に採用している取り組みを評価したい。
これは、女性へのきめ細かい気遣いが感じられる装備だがディーラー装着オプションとしてアロマティック・ブレイク(アロマオイルが、心と身体に働きかけ、気分を良くする。3つの香りからチョイス。)が用意されている。

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ROAD IMPRESSION
この試乗記で紹介するR2は、SUBARUが1泊2日の試乗キャンペーンを展開していたときにお借りした車である。長時間試乗の機会を得たことは大変ラッキーであった。
さて試乗した車は、SグレードのFFでスーパーチャージャー&7速スポーツシフトi-CVTで武装したスポーツモデルである。
試乗した日は、雨天、しかも強雨の中での試乗となった。お陰でワイパーの払拭具合、作動音を含め十分にチェックすることが出来た。細部から入って恐縮だが、ワイパー作動音についていえばモータのうなり音がもう少し抑えられればと思う。こういった音は、気になりだすと厄介なのだ。もう一点、間欠作動後に恐らくリレーの作動音と思われるが「カチッカチッ」という音が払拭する度に聞こえる。これは、かなり気になるので改善した方がいい。払拭性能については高速走行時(リミッターが作動する速度:メータ読み140Km/hまで確認)においてもブレードの浮き上がり等は全く見られなかった。これは、高く評価できる。
さて肝心の走行性能に話を移すが、まず、スーパーチャージャーの加速フィーリングは、発進時こそ低速トルク不足を感じるものの40Km/hを超えたあたりからスピードメーターの指針が解き放たれたように上昇速度を速めていく。この加速感は、市街地走行での武器になり得る加速感だ。そして、速度の上昇と共に「キーン」という高周波音が聞こえるが音量レベルが低く抑えられていることとドライバーが加速させたいという気持ちと妙にリンクしているのでこの「キーン」音は、決して嫌味な音としてではなくむしろ心地よい音色としてドライバーに昂揚感を与えてくれる。以上、通常モードで床板迄アクセルペダルを踏みつけた場合のスーパーチャージャーのフィーリングについてお伝えした。Sグレードのi-CVTにはスポーツモードスイッチが設けられているのだが、スポーツモードでの加速感は前述した40Km/hまでのもたつきがやや改善される程度で、使用するシチュエーションは市街地で比較的ゴーストップが多いが気分的にキビキビ走りたいとき及び低速度のワインディングであり高速走行時等ではあまり恩恵を感じない。
さてR2の直進性は、評価に値する。前述したようにここだけの話だがリミッター速度迄試みたが実に安定しているのだ。しかも強雨の中というハンディーを考慮するとちょっとした驚きだ。
ここで一見矛盾したようなことを述べるが残念なのは、ステアフィールだ。高速では適度にステアリングが重くなり、この重さがあるから前述した高速直進性にも不安はないといえるものの路面からのインフォメーションがステアリングを通して入ってきているとはいえないのだ。極端な言い方をすれば、ステアリングと路面は切り離されているような感覚なのだ。しかしステアリングは適度に重く、タイヤと路面の間ではうまく仕事をこなしているのだ。
こういったステアフィールは、低速度(40Km/h以下)では極端に表れる。ステアリングが軽すぎることも手伝って切れば曲がるが、ステアリングへの情報が不足していると感じ面白くないのだ。どうも電動パワステは、こういったフィーリング面でのセッティングに難があるようだ。軽だからと割り切る方もいらっしゃるかと思うが、Sグレードのプライス面から考えれば、更なる改善努力を個人的には期待したいのだが・・・。
ブレーキフィーリングはスーパーチャージャーを利かせての市街地でのゴー&ストップ、高速時からのブレ-キングにも十分なストッピング能力を発揮してくれた。スーパーチャージャーとこの高いブレーキ性能を最大限発揮しての市街地走行は実に痛快だ。
次に乗り心地であるが、凹凸のきつくない比較的フラットな舗装路に於いては、当たりがソフトで良好なフィーリングだが大きなうねりは、吸収できない感あり。又、細かい凹凸が続くと身体に響く。この感じは、30Km程度の近場の走行に於いては問題にならないが、長距離走行時(一気に150Km以上)では降車時に疲労感として振動が残るので問題だ。
コーナリングについてだが、タイトコーナーを攻めるのは辞めた方がいい。なぜならば、Aピラーに阻まれコーナーRが視覚に入らないのである。これには参った。もう一つの理由は、単純だ。上りのタイトコーナーでは路面にタイヤが食いつかないのである。(雨の影響は考慮してもだ。)
さてここまで色々と良いところ悪いところを述べてきたが、SUBARU R2 Sグレードの走りを生かすには、スーパーチャージャーを駆使した市街地走行(高い情報収集能力必須:幸運を祈る!)そして、比較的コーナーRの大きな中速コーナーを7速スポーツシフト・マニュアルモードを駆使して走れば、これは痛快だ。
個人的に言えば、このスーパーチャージャー付R2には女性が似合うと思う。この車を駆使すれば市街地走行に於いて、3Lクラスを置き去りにすることも可能だと思う。(もちろん根性必須!)逆ハラかもしれないが、男性がこのファッショナブルなSUBARU R2 Sで3Lクラスとバトルをしても洒落っけがない。今、この瞬間を颯爽と駆け抜ける女性にこそ乗ってもらいたい車だ。

P.S)シフトレバーをマニュアルモード側へ倒した時にシフトレバーにつられてベースのディスク(P,R,N,D,L表示、+&−刻印表示のあるディスク)が同期して動いてしまう。これは、質感を大いに削ぐので改善すべきだ。


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