今回試乗した車は、V世代目のフルモデルチェンジを果たしたマツダの”ロードスター”である。
1989年に誕生した初代ロードスター(日本名;ユーノスロードスター、米国呼称;ミアータ、欧州呼称;MX-5)はライトウェイト2シーターオープンスポーツカーというカテゴリーに新風を巻き起こし、世界中の2シーターオープンスポーツカー市場を活性化させる起爆剤となったことは、周知の通りである。当時のマツダは、翌年の1990年にユーノスコスモ(ロータリーエンジンを搭載したラグジュアリークーペ)、1991年にはアンフィニRX-7(ロータリーエンジンを搭載した生粋のスポーツカー)、センティア(高級セダン)などを市場へ投入しているが、各車夫々にかなり思い切った先進的なデザインを採用し、今(05年)の車達と比較しても対等に渡り合えるほどに、個性的かつ魅力的であった。こうした(バブル崩壊前の)エネルギッシュで、ある種自由闊達な時代であったからこそ、マツダの技術屋さんのストレートな思い入れを具現化したライトウェイト2シーターオープンスポーツカー・ユーノスロードスターが生み出されたと言っていいだろう。そして、市場が渇望していたこのカテゴリーにおける車好きのハートを見事に射抜き、結果として「二人乗り小型オープンスポーツカー生産台数世界一」としてギネス記録に認定されるに至るのである。こうした事実は、日本の自動車製造メーカーとしてのマツダを世界に強く印象づける出来事としてなかなか誇らしいことである。
一方で利益優先の観点からすれば、趣味性の強いこの手の車は、概して大幅な台数増が見込めるとはいえず旨味があるとはいい難いのだが、マツダは敢えてそこに挑戦(苦しいながらも生み出した芽を育てる道を選択した!)し、世界のロードスターファンの期待に応え続けてきた。一人の車好きとして、マツダの技術屋さんならびに部品メーカーさんの血と汗と涙のご努力に微力ながら心からの賛辞を贈りたい。もう一点アウトサイダーである小生から申し上げるには恐縮だが、ロータリーエンジンを諦めることなくRX-8へと昇華させたマツダ、そして人馬一体のコンセプトに更なる英知を注ぎ込み完成させたV世代目オールニューロードスター、これらの車への想いからは心底純粋な車好き集団としてのマツダが見えるのである。
初代〜3世代目までの代表グレードによる主な諸元の変遷〈下表 1)〜3)参照〉
初代〜V世代目までのロードスターの主な諸元の変遷を睨みながらロードスターの進化のプロセスの一端を見てみることにしよう。(ターボ車及びクーペは、除く)
注)下表に記載した数値は、メーカー公表値または、それを用いた計算値である。
表1)各ディメンション及びサスペンション、タイヤなど
世代 |
モデル年 |
代表
グレード |
全長 |
全幅 |
全高 |
ホイール
ベース |
トレッド
前/後 |
サスペンション形式
前/後 |
タイヤサイズ |
備考 |
T |
1989 |
1.6標準 |
3970 |
1675 |
1235 |
2265 |
1405/1420 |
ダブルウイッシュボーン
/ダブルウイッシュボーン |
185/60R14 |
リトラクタブル
ヘッドライト |
1993 |
1.8標準 |
3955 |
1675 |
1235 |
2265 |
1405/1420 |
ダブルウイッシュボーン
/ダブルウイッシュボーン |
185/60R14 |
マイナー
チェンジ |
U |
1998 |
1.6標準 |
3955 |
1680 |
1235 |
2265 |
1405/1430 |
ダブルウイッシュボーン
/ダブルウイッシュボーン |
185/60R14 |
リトラクタブル
ヘッドライト廃止
フルモデル
チェンジ |
1998 |
1.8RS |
3955 |
1680 |
1235 |
2265 |
1415/1440 |
ダブルウイッシュボーン
/ダブルウイッシュボーン |
195/50R15 |
2000 |
1.6M |
3955 |
1680 |
1235 |
2265 |
1415/1440 |
ダブルウイッシュボーン
/ダブルウイッシュボーン |
185/60R14 |
マイナー
チェンジ |
2000 |
1.8RS |
3955 |
1680 |
1235 |
2265 |
1415/1440 |
ダブルウイッシュボーン
/ダブルウイッシュボーン |
205/45R16 |
V |
2005 |
標準 |
3995 |
1720 |
1245 |
2330 |
1490/1495 |
ダブルウイッシュボーン
/マルチリンク |
205/50R16 |
フルモデル
チェンジ |
2005 |
RS |
3995 |
1720 |
1245 |
2330 |
1490/1495 |
ダブルウイッシュボーン
/マルチリンク |
205/45R17 |
表2)動力性能、燃費など
世代 |
モデル年 |
代表
グレード |
排気量
(cc) |
出力
(PS) |
トルク
(Kg.m) |
車両重量
(Kg) |
馬力当たり重量
(Kg/PS) |
トルク当たり重量
(Kg/Kg.m) |
燃費
(Km/L) |
T |
1989 |
1.6標準 |
1597 |
120 |
14.0 |
940 |
7.83 |
67.14 |
12.2 |
1993 |
1.8標準 |
1839 |
130 |
16.0 |
980 |
7.54 |
61.25 |
12.4 |
U |
1998 |
1.6標準 |
1597 |
125 |
14.5 |
1010 |
8.08 |
69.66 |
14.8 |
1998 |
1.8RS |
1839 |
145 |
16.6 |
1030 |
7.10 |
62.05 |
13.0 |
2000 |
1.6M |
1597 |
125 |
14.5 |
1030 |
8.24 |
71.03 |
14.2 |
2000 |
1.8RS |
1839 |
160 |
17.3 |
1070 |
6.69 |
61.85 |
13.0 |
V |
2005 |
標準 |
1998 |
170 |
19.3 |
1090 |
6.41 |
56.48 |
13.4 |
2005 |
RS |
1998 |
170 |
19.3 |
1100 |
6.47 |
56.99 |
13.0 |
表3)運動性能関連など
世代 |
モデル年 |
代表
グレード |
A
ホイールベース
/全長 |
B
トレッド前
/ホイールベース |
B
トレッド後
/ホイールベース |
C
*アキシャルセンター
〜ルーフ迄/トレッド前 |
C
*アキシャルセンター
〜ルーフ迄/トレッド後 |
T |
1989 |
1.6標準 |
0.571 |
0.620 |
0.627 |
0.673 |
0.666 |
1993 |
1.8標準 |
0.573 |
0.620 |
0.627 |
0.673 |
0.666 |
U |
2000 |
1.8RS |
0.573 |
0.625 |
0.636 |
0.669 |
0.658 |
V |
2005 |
RS |
0.583 |
0.639 |
0.642 |
0.629 |
0.627 |
*タイヤ径の計算値からの単純計算値である。
1)初代〜U世代目(16年間)までは、基本骨格を大幅に変えることなく(表1参照)動力性能並びに燃費(表2参照)、運動性能(表3参照)などの向上策が施されている。
@動力性能;初代1989年モデル(1.6標準)と2000年モデル(1.8RS)では、
馬力当たり重量で約14.6%、トルク当たり重量で約7.9%向上させている。
A燃費;初代1993年モデル(1.8標準)とU世代目2000年モデル(1.8RS)では出力UP並びに剛性UPの為の車両重量増(+90Kg)を施しながらも0.6Km/Lの改善が図られている。
B運動性能;初代1989年モデル(1.6標準)と2000年モデル(1.8RS)ではオーバーハングへの改善(表3-A参照)、トレッド拡大による安定志向への改善(表3-B,C参照)が図られている。ちなみに表3-Cの項目に関する改善率は、**約0.6%〜約1.2%である。
**表3-Cの項目におけるあくまで表記上の数値の変化率。
2)V世代目(RS)の動力性能並びに燃費(表2参照)、運動性能(表3参照)をU世代目2000年モデル(1.8RS)と比較してみると限られた数値からではあるが、今回のフルモデルチェンジの進化の度合いが分かる。
@動力性能;馬力当たり重量で約3.3%、トルク当たり重量で約7.85%の更なる向上が図られた。
A燃費;排気量UPするも13.0Km/Lを維持した。(軽量化策も貢献)
B運動性能;オーバーハングへの更なる改善(表3-A参照)、トレッド拡大による安定志向への更なる改善(表3-B,C参照)が図られている。特に表3-Cの項目に関する改善率
(**約4.7%〜約6.0%)が著しい。(初代〜U世代目では、**約0.6%〜約1.2%)
**表3-Cの項目におけるあくまで表記上の数値の変化率。
3)V世代目のサスペンションは、初代〜U世代目まで採用されていた前後共にダブルウイッシュボーンからアテンザ、RX-8で実績のある前:ダブルウイッシュボーン、後:マルチリンクの組み合わせを採用(RX-8の製造ライン共用化を睨んでのことと推測する。)
4)V世代目(RS)の車両重量は、ディメンション拡大、排気量UPを織り込みながらもU世代目の2000年モデル(1.8RS;00/7メーカー公表値では、1070Kg)に比べて+30Kgに抑えられている。
軽量化アイテムの目玉の一つであるトランクリッドのアルミ化は、アルミと鋼の接合技術の開発により成し得たと聞いている。こうした設計をフォローアップする製造技術力によって新型ロードスターの目指す運動性能が成立しているのだ。改めて執念の技術屋集団に拍手を贈りたい。
価格面について〈下表 4),5)参照〉
馬力当たり価格、リッター当たり価格、装備面の充実度と車両本体価格などをU世代目RSと比較し、V世代目RSのお得感の有無を考えてみたい。
注)下表に記載した数値は、メーカー公表値または、それを用いた計算値である。
表4)馬力当たり価格&リッター当たり価格(05年RSと00年1.8RSとの比較)
世代 |
モデル年 |
代表
グレード |
車両本体価格
(消費税抜き) (\)
|
馬力当たり価格
(\/PS)
|
リッター当たり価格
(\/L)
|
U |
2000 |
1.8RS |
2,328,000 |
14,550 |
1,265,905 |
V |
2005 |
RS |
2,380,952 |
14,006 |
1,191,668 |
差(VーU) |
+52,952 |
-544 |
-74,237 |
注)下表に記載した装備は、05年RS;05/8、00年RS;00/7、夫々メーカー公表内容に基づく。
表5)主たる装備比較(05年RSと00年1.8RSとの比較)
項目 |
2005年RS |
2000年1.8RS |
オーディオ |
4スピーカー |
2スピーカー |
インテリア |
ステアリングオーディオコントロールスイッチ付 |
ー |
アルミペダル |
オプション |
電波式キーレスエントリー(アンサーバック機能付
/トランクオープナー付) |
キーレスエントリー
トランクオープナー付
オプション |
パワードアロック |
オプション |
メッシュタイプエアロボード |
エアロボード
オプション |
視界 |
ディスチャージヘッドランプ
〈オートレベリング機構(光軸調整)付〉 |
プロジェクター式
ヘッドランプ |
せーフティ |
衝撃吸収ステアリングコラム |
ー |
頚部衝撃緩和シート |
ー |
クラッシャブルブレーキペダル |
ー |
4W-ABS(4輪アンチロックブレーキシステム)
&EBD(電子制御制動力配分システム) |
オプション |
空調 |
フルオートエアコン |
マニュアルエアコン |
タイヤ&ホイール |
205/45R17+アルミホイール |
205/45R16+アルミホイール |
盗難防止 |
イモビライザー |
ー |
その他 |
アルミ製トランクリッド |
ー |
1)車両本体価格(消費税抜き)の絶対値では、05年RSが00年1.8RSを約\53,000上回っているが、馬力当たり価格及びリッター当たり価格を見るとお買い得感が高いといえる。(表4参照)
2)装備面(表5参照)をみると、00年1.8RSでオプション設定となっていたアルミペダル、キーレスエントリー、パワードアロック、エアロボード、4W-ABS+EBD等は05年RSではすべて標準装備となっている。更に、4スピーカー、ステアリングオーディオコントロールスイッチ、ディスチャージヘッドランプ、セーフティ関連装備、フルオートエアコン、イモビライザー、アルミ製トランクリッドなどを含め、05年RSの装備の充実度は高く、これらの装備の割りに00年1.8RSに対して僅かプラス約\53,000に抑えており、お得感が有るといっていいだろう。
エクステリア
U世代目モデルと比較すると、全長&全幅で40mm、全高で10mmアップしたが、全体のフォルムからは、マツダのロードスターであることが一目でわかるデザインだ。意地悪な見方をすれば、やや保守的とも取れるが、マツダのロードスターであるというブランドイメージを極自然体で継承していきたいというメーカーのメッセージが込められているとすれば、妙に納得がいく。しかし、先代のイメージを残しているとはいえ、前後に盛り上がったフェンダーアーチ、新意匠の5穴アルミホイール、RSグレードに設定された205/45R17など走りへの拘りが先代ロードスターよりも強調されていることは確かだ。
ボディーカラーは、8色(ブリリアントブラック、トゥルーレッド、サンライトシルバーメタリック、ウイニングブルーメタリック、マーブルホワイト、ノルディックグリーンマイカ、ギャラクシーグレーマイカ、カッパーレッドマイカ)が用意されている。但し、サドルタン(レザー)のシートとタン(クロス)のソフトトップが標準となるVSグレード及びRSグレードでVS仕様と同等のサドルタン(レザー)のシートとタン(クロス)のソフトトップをオプション装着した場合は、7色(”ウイニングブルーメタリック”は、選択不可)から選択することになる。
インテリア
インテリアは、先代のロードスターではシンプルでスポーティーという雰囲気であったが、V世代目では、スポーティーかつ上質感のある仕上がりが印象的だ。ダッシュボードの横一線にピアノブラックデコレーションパネルが奢られ、上質感の格上げに貢献している。また、アルミ調の演出〈メーターリング、エアベントベゼルリング、インナードアハンドル、シートバックバーガーニッシュ(RS&VS)、ドアアシストグリップキャップ(RS&VS)、スピーカーベゼル(RS&VS)など〉が引き締まったスポーティー感を与えていて、なかなかいい。こうした随所に用いられている樹脂成型品の表面の質感、色、艶、精度的な面においての格段の進化がV代目ロードスターを支えているといっていい。さらに付け加えるが、エアバックを内蔵しながらも妥協を感じさせないスポーティーな3本スポークステアリング、形状&質感にも拘りが見られるMT車のシフトノブなどからもマツダの意気込みが伝わって来る。
シートとソフトトップについてだが、サドルタンの本革シート(シートヒーター付)とタンのソフトトップ(クロス)は、見逃せない魅力的なアイテムだ。VSでは標準、RSグレードではオプションとなるが、これは嬉しい迷いとなりそうだ。
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ROAD IMPRESSION(ロードスター・ロードインプレッション)
試乗車のグレードは、RS(6MT)である。
初めにシートについて話をするが、着座位置が低く、シートにすっぽりと腰と大腿部が収まる感じで、かつ腰部を後からそっと指圧の如く押し返してくれる感覚がいい。下からの反力も個人的には好みで、シートの硬さも気に入った。ロングドライブにも十分応えてくれそうなシートだ。
シフトフィールは、適度な重さ感とコクッと入る節度感の両者がいい味を出しており、シフト操作は正確に決まる。ストロークは、悪いとは言えないが、個人的な欲を言えば更にショートが望ましい。クラッチペダルの踏力は、軽く、発進時の気難しさは皆無で実に扱いやすい。これならば、ロングドライブに出かけても殆ど苦にならないと感じた。たとえ渋滞に嵌ってもだ。
次にアクセルワークに対するレスポンスだが、踏み込み量に忠実かつ非常にダイレクト感のあるフィールで、車がドライバーの意志と直結したかのようにレスポンスしてくれるのだ。中間加速域(例えば約60Km/h〜)におけるレスポンスもよく、どの領域からアクセルオンしても車がスーと前に出てくれるフィールは、ファンだ。付け加えておくが、発進時からの加速フィールは、唐突な立ち上がりを見せるのではなくリニアであることもグッドだ。
V世代目ロードスターは、確かに先代より馬力当たり重量、トルク当たり重量が改善してはいるが、そうはいっても決してハイパワー車の範疇に属する車ではない。(誤解されるといけないので言っておくが、遅い車では決してないがバカッ速い車でもないということ。)従って、上述したアクセルワークの素晴らしい味付けを適度に楽しむ、要は体感的な速さを楽しむドライビングが似合う車だ。
エンジン音についてチューニングしたと聞いていたので、スタート時に軽く煽ってみたが魅力的な音色を聞くことは出来なかった。暫く走行した後にエンジンが温まった後には、やや低音のエキゾーストノートが耳に届くようになった。ゆっくりとロードスターを転がしている時にもささやきのように聞こえてくる。こういった低音のエキゾーストノートは、昂揚感を演出する道具として重要だ。(このエンジン音については、ソフトトップクローズ、ドライバー側ウインドウオープン状態)
ステアフィールについての第一印象だが、中立付近の感覚は、かれこれ4年程前に試乗したU世代目1800RSと比べると何となく鋭さが消えてしまったように感じたのだ。当時のU世代目1800RS(01年5月試乗)の中立付近からの切れ味は、僅かなステア操作に対してステアリングとタイヤが直結しているかのようなレスポンスの鋭さを示し、個人的には好みであった。同時期のRX-7(FD3S)は、鋭さでいえばその最右翼に属する車であったが、2番手は、ロードスターというように感じていた。個人的には、非常にプレシジョンのあるステアフィールとして絶賛していたのだ。しかしながら、こうした乗り手を選ぶステアフィールは、RX-8では継承されず穏やかな味付けが施された。V世代目ロードスターもこの路線に乗っかったように思える。要するにマニアック度が薄められたことは否めないのではないか。良くも悪くも時代の流れを感じるのである。
V世代目ロードスターのステアフィールについて感じたことをもう少し報告しておく。中立付近からゆっくりとステアリングを左右に動かしてみると鋭さはないが、ステアした量に忠実に穏やかに反応する。角速度を故意に速めた時の車の反応は、中立付近のダルな印象から一変し、鋭い切れ味を示す。鋭い切れ味自体は、おもしろいが、中立付近のダルな感覚とのギャップが大きすぎ、違和感は否めない。但し、鋭い動きをしたボディーのスタビリティは高く、不安感は無い。さて、幸いにも?試乗コースには80Km/h〜100Km/h程度で駆け抜けることが出来るやや下りの中速コーナーがあるのだが、この程度では動じないという感じで、非常にステアフィールは安定していた。コーナリング中におけるステアリングインフォメーションは良好で、ロードスターを駆ってのコーナリングは、安定志向に振られたとはいえ、やはり楽しい。コーナリング時にはリアの踏ん張り感を感じながらアクセルを開けていく感覚がなかなか楽しいのだ。
ブレーキフィールについては、街中を法定速度+αで転がして泳ぎ回ったとしても安心感が高いという感じがした。止まりたい時にドライバーの意志に忠実に仕事をこなしてくれる感じだ。ワインディングロードを走行しても恐らく十分な制動力を発揮してくれるのではないかと想像する。ノーズダイブも抑制されていて好感を持った。
乗り味についてだが、試乗車のRSには標準でビルシュタインダンパが奢られているのだが、この乗り味は、いい。個人的には大絶賛である。凹凸のある中速コーナリングにおいても何事も無いかの如く、いなしてくれる乗り心地の良さと外乱のなさには驚かされた。この乗り味であれば、いつでもロングドライブを躊躇することはないと断言できる。
V世代目ロードスターは、堂々とロングドライブに連れ出し、あらゆる路面と心ゆたかに対話したい!と思わせる懐の深い車へと成長深化したように思う。V世代目ロードスターは、もはや限られたマニアだけの車ではない。ロングドライブを楽しむゆとりを持ったおとな達にも満足度が高い車へと少し舵取りをしたように思える。いわゆる第二の人生をアクティブに踏み出そうとしている団塊の世代の方々にもお勧めしたい車だ。
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