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HONDA
ホンダCR-V VS 三菱アウトランダー装備&性能比較                   
Nov.2006

HONDA CR-V IMPRESSION
(ホンダCR-V試乗インプレッション)


今回試乗した車は、ホンダCR-V ZXである。
グレードは、FF2WD;ZLi&ZL、4WD;ZXi,ZX,Xの5タイプが用意されている。
エンジンは、オデッセイにも搭載されている排気量2354cc、K24A型で最高出力は、オデッセイタイプMよりも10PSアップの170PS、最大トルクは、0.2Kg.m高く22.4Kg.mを発生する。
タイヤホイールは、タイプX(225/65R17)を除く4グレード全てに18インチ(225/60R18)を履かせ、走行性能面での強化が窺える。
今回のCR-Vには新リアルタイム4WDシステムと称し、後輪へトルクを伝達する従来のホンダ独自のデュアルポンプシステムに加え、新たにワンウェイカムユニットが付加され、これによりFF⇔4WDの切り替えをタイムラグを感じさせることなく瞬時に行えるようにしたという。


1.エクステリア
新型CR-Vのエクステリアデザインは、旧型CR-Vには申し訳ないが2段飛び越しぐらい飛躍したといっていい。力強く、個性的で、しかも高級感も備わっている。第一印象でいいじゃないか!!と感じさせるデザインなのである。これはあくまで街の試乗屋の個人的な感性の領域であることをお断りしておくが、新型ストリームでも感じたことであるが、非常にバランスがいいのである。トータルバランスを考慮した上で、主張すべき造形については、キッチリと主張していると感じさせるのである。2段構えのフロントグリルは、個性的な力強さが感じられ、その造形に応えるかのようにサイドには彫りの深いプレスラインが負けじと奢られていてタイヤハウスにも力が漲っている。スペアタイヤを背負わなくなったリヤビューは、外側に搾り出すことにより力感のバランスをうまくとっている。
この手のSUVたちは、デザインの差別化が大変難しいが、新型CR-Vなら例えBMW X3と比べてもそのブランド力に対向するだけの個性がはっきりと主張できていると思うのである。
一点、付け加えておくが、ハリアー、アウトランダーなどのSUV車では左フロントタイヤサイドの視認性を確保する為に小振りのミラーが左フェンダーに装着されているが、このミラーを新型CR-Vではサイドミラーの下側にプリズム式ミラーを設けることにより廃止した。このことにより余計な突起物がなくなり、デザイン上の利点も大きい。

2.インテリア
実にさりげなく小奇麗に纏められている。各パーツの造形と質感が心地よい。ドアハンドルの形状、ドアノブにも拘りが感じられる。個人的には長く所有したとしても飽きがこないデザインであるように思えた。ホンダ車の面白いところは、個々の車に対して夫々が独自性をもち個性的であることだ。もちろんこの新型CR-Vもまたどのホンダ車とも似ていない。個人的にはそうした設計思想を大いに歓迎したい。
さて、室内のディメンションは、長さ×幅×高さ=1900mm×1465mm×1255mm<サンルーフ装着時;1220mm>で、アウトランダー5人乗り(1920mm×1490mm×1270mm<サンルーフ装着時;1210mm>)と比較するとCR-Vの方が-20mm×-25mm×-15mmとマイナス方向だが、カーゴルームにおいては、荷室高×荷室床面幅(最大)×荷室床面長(リアシートダブルフォールディング時)=1020mm×1400mm×1430mmでアウトランダー5人乗り(935mm×1265mm×1440mm)に対して+85mm×+135mm×-10mmと数値上ではCR-Vの方が体積的には有利である。またCR-Vでは、折畳み式の樹脂製のシェルフにより荷室を上下に分割して使用することも出来るダブルデッキカーゴシェルフが用意されていて利便性がよい。(但しXタイプを除く)また後席シート中央のみフォールディングが可能なため、4名乗車での長尺物の積み込みが出来る。

3.シート
試乗したZXタイプには8ウェイ(スライド/リクライニング/ハイト(前・後))電動パワーシート+シュクラ社製ランバーサポートが装着されていた。スライド、リクライニング、ハイト夫々の作動音は、底上げが図られている感をもった。また作動フィールについても質感に気を使っていると感じさせるものであった。
シートへの着座感は、ソフトタッチである。こうしたソフトタッチのフィールが、長距離走行時においてどのように作用するのかが興味深い。腰部のランバーサポートについても長距離走行においてどのようなフィールをもたらすのかが気になるところである。
約20分程度の試乗時間のなかでは、違和感のある反力を部分的に感じることは無かったと報告しておく。

4.変速機(5AT)
停車時にシフトをP⇔N⇔Dと移動させても不快なシフトショックを感じることは皆無だ。昨今のATは、電子制御プログラムの恩恵によって飛躍的に進化したといえる。車が動き出してからのシフトフィールは、浅めのアクセルワークで緩々と転がしていった場合に2速へとシフトチェンジしたことが僅かに分かるというもので、これは意識しての話であって、極普通にアクセルを開けていった走行状態ではATの変速の過程を意識させられる機会は非常に少ないといっていい。もちろん故意にアクセルを深めに踏み込んだときのキックダウン時には僅かなショックを伴うが、レスポンスが鋭く、瞬時に加速体制に入るのでギクシャクするいやな感じがない。
総じてシフトショックが少なく、かつレスポンスにも優れ、アクティブな走行を可能とする出来のいいATと感じた。

5.アクセルワーク
DBW(ドライブバイワイヤー)のプログラムは、アクセルワークに対してアクティブな反応を示す。深めのアクセル開度に対してエンジンへの直結感を強く感じる設定となっていた。車重1550Kgは、決して軽いとは言えないのだが、もたもたした印象は一切なく、むしろアクセルワークに忠実な活発なドライビングが楽しめるのである。

6.エンジン音
まずアイドリング時の静粛性には驚かされた。技術的な拘りを感じる。要するに不快な音を排除しようという努力を感じるのである。
しかしながら、余計なことを言うが、ここまでアイドリング時に気を使ってもらうと逆に走行時の音圧&音質が気になってくるというのが正直な感想だ。
走行時のエンジン音を今一つマスキングし、心地よいエンジン音だけを取り出して!というところまで持っていかなくてはならなくなる。(ここちよいエンジン音とは何か?ということを追求しなければならない?!恐らく進めていると思うが・・・)
音の感じ方、特に音質については、大変困難な課題であると思う。今後、更なる技術的な進化を期待したい。

7.ステアフィール
中立付近の重さ感がいい。落ち着いたステアフィールで、安心感がある。
ロングドライブにおいても、いいフィールを提供してくれると推測する。
直進時に適度な重さ感を与えることは、直進しているぞ!とドライバーに意識させる意味で重要だ。(重すぎてはマイナスだが)
例によって、角速度を速めた車線変更を試みたが、車両の動きはしっとりと落ち着いていて、安心感は非常に高い。左右にすばやく小刻みにステアしてもしっとりとゆったりとした動きをする。だれが運転しても安心感を感じるステアフィールであると思う。そしてステアリングとタイヤとの間にしっとりとした直結感があるのがいい。単にギヤ比がダルで遊びが多く、ステアした分量にたいして肩透かしをくらう類のものとは全く異なり、非常に質感が高いと感じさせるフィールなのである。だからコーナーに向けてステアする時は、狙ったラインをトレースできるので、ワインディングロードもけっこう楽しめるステアフィールであると思う。

8.ブレーキフィール
僅かなストロークに対して制動力の立ち上がりが急なために、低速時にはストロークに余計な神経を使わなければならず、やや不満である。効き自体に不満はなく、高速度からのブレーキングにおいても安心感は高い。
望むべくは、踏力に対して直結感がありリニアに立ち上がってくれるブレーキフィールである。

9.コーナリングフィール
コーナリングフィールは、非常に安心感が高いと感じた。いつもの中速コーナーにブレーキングなしでそこそこの速度で突っ込んでみても全く不安感を抱くことはないのである。(標準装備のVSAの介入は感知できなかった。)こんなに安心感が高くていいのだろうか?と妙な表現をしたくなるほどである。
もう一点、とある片側2車線の交差点を右折した時の挙動であるが、深めにアクセルを開けながら右折をしたが、グラッとロールするようなヘボな動きはなく、4輪がしっかりと無駄なく地に足をつけており、ロスがない感じであった。駆動力が無駄なく路面に伝達、コーナリング姿勢に乱れが無く、エンジン出力とシャシーとのバランスのよさを感じた。

10.乗り味
他の要素がハイレベルであるだけに乗り味については、つい注文をつけたくなる。
総じてしっとり感が不足している。特に低速時ではややゴツゴツした味だ。ホンダ車らしい!?18インチタイヤを履いているからだ!?と弁護したくもなるのだが、もう一歩欲を言えば、角を丸く、しっとりとした味が出せればと感じてしまう。ステアフィールにしっとり感があるだけに乗り味についても今一歩、しっとり感を求めたくなるのである。
このあたりの改善課題になるとちらほらとコストとの関係が顔を覗かせることと思うが、高級感の更なる格上げを図るという将来的な課題として、是非取り組んで欲しいと勝手なことを申し上げておく。





以下、三菱アウトランダーと外観寸法、動力性能面、価格面及び燃費について比較した。(下表参照)

車種 外観寸法 動力性能面 価格面 燃費
(km/L)
全長 全幅 全高 A
重量/馬力
(Kg/PS)
B
重量/トルク
(Kg/Kg.m)
C
A×B
(Kg2/PS・Kg.m)
価格/リッター
(¥/L)
価格/馬力
(¥/PS)
HONDA CR-V ZX 4520 1820 1690 9.2 69.2 637 1,212,829 16,794 11.6
MITUBISHI OUTLANDER G 4640 1800 1680 9.3 68.7 639 1,153.031 16,000 11.6
NOTE)

1.表記の燃費値はHONDA CR-V;06/10時点のメーカーカタログ値、MITSUBISHI OUTLANDER;05/10時点のメーカーカタログ値
2.燃費値を除く表記の数値はHONDA CR-V;06/10時点のメーカーカタログ値及びプライス表MITSUBISHI OUTLANDER;05/10時点のメーカーカタログ値及びメーカーカタログに記載されたプライスを用いた計算値。
3.価格面の計算に用いた車両価格は、HONDA CR-V;\2,855,000(消費税抜き)、MITSUBISHI OUTLANDER;\2,720,000(消費税抜き)を用いた。
HONDA CR-Vの価格には、オプション装備;ホンダスマートキーシステム(\70,000)、レザーインテリア(¥165,000)を含む。MITSUBISHI OUTLANDERには、オプション装備;フロント&セカンドシート本革(¥200,000)を含む。

・動力性能面[上表C値(動力性能の一つの指標)]では、拮抗し差はない。オプション装着により装備面での差異を出来る限り縮めた場合(イコールではない)の価格を用いた比較では、リッター当たり価格、馬力当たり価格共にアウトランダーが優位である。(参考迄)尚、装備比較詳細については、”ホンダCR-V ZX VS 三菱アウトランダーG(5人乗り)装備&価格比較”を参照方。

街の試乗屋のコメント(補足)
新型CR-Vの進化には驚かされた。シャシーと出力のバランスがとてもよく乗り手を選ばない安心安全な車に仕上げられていることだ。さらに新型CR-Vでは『緻密なステアフィール』と『アクセル開度に対するレスポンスを高め、ダイレクト感を持たせたエンジンフィール』によって単なるSUVではなく、ドライビングを楽しめる車に仕上がっていることを高く評価しておきたい。また長距離走行に配慮したシートへの拘りも評価出来る。
余計なことを付け加えておくが、ブレーキフィールについては是非改善(ストローク量に対してリニア感のある制動力の立ち上がりが望ましい。)して欲しい。また乗り味(乗り心地)については、近未来的課題として、今一歩質感の高いフィールを目指していただきたい。

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