私は、街の試乗屋さん

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Nov.2002
Fit 1.5T IMPRESSION
(ホンダフィット1.5T試乗インプレッション)


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今年は、ホンダフィットがトヨタカローラを抑えて販売台数でトップの座につくかも知れない?
02/1〜10までの累計販売台数ではカローラに約2万台の差を付けている事実から推し量るとフィットが年間販売台数でトップの座に輝く可能性は、大いにあるといえる。(トヨタの執念の巻き返し-戦略?は予測できないが・・・・。)
この時期にあってホンダは、新たに1500ccエンジンを搭載したFit 1.5Tをラインナップに加えた。
Fit 1.5Tの登場による今後の販売台数の推移を見守りたい。
さてFit 1.5Tの魅力は、1.5リッターVTECエンジンに自動無段変速の「ホンダマルチマチックS」を組み合わせ、さらにステアリングのスイッチでマニュアル感覚のシフトチェンジを可能とした「7スピードモード」を搭載したことにある。「ホンダマルチマチックS」は自動無段変速ATに走るシーンによって自動的にシフトスケジュールが変わる機能を付加したものである。自動無段変速モードから「7スピードモード」への変更は、ステアリングスポークの右下にある7SPEED MODEスイッチで行う。これによって節度感を伴う7速オートシフトモードでの走行が可能となる。次に左右のステアリングスポーク上にあるシフトスイッチによってマニュアル感覚での任意な7速シフトチェンジが楽しめる設定となっている。この「7スピードモード」は、技術者の遊び心を尊重するホンダらしい演出である。
エンジンは、最高出力110PS(6000rpm)、最大トルク14.6Kg-m(4800rpm)でIstに搭載されているものに対して+1PS,+0.2Kg-m、フィットが上回っている。又、DEMIOと比較すると最高出力でフィットが-3PS下回り、最大トルクでは+0.3Kg-mフィットが上回っている。
ここでFit1.3との差別化が図られた部位についてふれておこう。
まずエクステリアでは、スモークドメッキ・ヘッドランプガーニッシュ,レッドクリアリヤコンビランプ,14インチアルミホイール,サテン調メッキ・Fitエンブレムである。
インテリアでは、シルバー・独立3眼メータ,サテン調メッキ・インナードアハンドル/シフトパネル/サイドブレーキノブ/オーディオスイッチである。これらのアイテムは高級感とスポーティー感をさり気なく高めることに貢献している。
走る楽しさをプラスしたFit 1.5Tの登場はIst,MARCH,DEMIOに対して更にFitの独自色が鮮明となった点で興味深い。しかしながら、Fitを追うIst,MARCH,DEMIO各車夫々にも独自色があり、一様ではない。すなわちコンパクトカーに求められている時代的ニーズには強い独自色が欠かせない要件なのである。このことは選択するユーザー側を良い意味で大いに悩ませてくれるわけで大いに歓迎したい動向といえる。




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ROAD IMPRESSION
乗り心地は、硬さを残しつつも路面からの入力をうまくいなしていると感じさせるもので、薄味かもしれないが、乗り心地への味付けにこだわった技術的な取り組み姿勢を評価したい。乗り味云々という点ではDEMIO(Cozy)も努力の跡を感じとることが出来るわけだが、Fit1.5Tとは乗り味が異なる。両車の感じ方はFit1.5Tの方が硬く、DEMIO(Cozy)は柔らかいと大別できるが、大事なのは両車共にボディーのしっかり感を感じることが出来る点にある。その為、単純に硬い、柔らかいではなく乗り味という領域に一歩踏み込んだ心地よさを夫々違った形で感じさせてくれる。(しっかりしたボディーを与え、ばね下を如何に心地よくストロークさせるかが乗り心地に一味を付け加える基本であろう。)
以前の日本車であれば、どのメーカーの車に乗っても乗り心地は大差なく、乗り味を語れるものでは無かった。まだ薄味かもしれないが乗り味をうんぬん出来る時代が幕を開けつつあるのはユーザーサイドとして歓迎したい。今後の各メーカーの努力に期待し見守りたい。
さて、コーナリングであるが比較的タイトでかつ路面状況もやや荒れた状態のコーナにおいてロールを意識することなく、かつ4輪夫々が路面に追随していると感じさせる。この感じは、あきらかにFit1.3よりも乗り心地の面で一歩上質になったといえる。
レーンチェンジ時に感じたステアリングレスポンスは、比較的穏やかであった。このことはスポーツ志向のユーザーには物足りないかもしれないが、多くの一般ユーザーにはむしろ安心感を与えるセッティングといえる。
ステアリングインフォメーションであるが、乗り心地にようやく薄味が付いてきたところなので、欲を言えばもう少し路面からの情報を得たいと感じる面がある。
パワーステアリングは、電動アシストであるがカタログを見なければ分からない。
アシスト音は耳に届かないし、ステアリング操作中にドライバーの意思に反した挙動が手の平に伝わることはない。ホンダの電動パワーステアリングは、NSXに初搭載され、そのノウハウをアコードが受け継ぎ更にノウハウを蓄積してきた技術的背景があるわけで、その中で生まれたFitの電動パワーステアリングの完成度の高さには納得がいく。
7スピードモードを駆使しての走行フィーリングは、ことの他楽しい。ステアリングスイッチをプッシュすると瞬時にギヤ比が変わり、7速まで選択可能となれば例え短い信号の間であっても親指をついつい動かしたくなる衝動に駆られるのである。
又、7速から順次シフトダウンしていく場合も信号で停止するまでに1速迄落とす行為自体が遊び心をくすぐり、正にゲーム感覚だ。親指がうずく親指族には正にうってつけのゲームカーの登場だ。
Fit1.5Tは、困ったことにマルチマチックSに身を任せてゆっくりと走行させていると損をしてる様な気になることだ。7スピードモードのスイッチをオンにし、かつ、ステアリングスイッチを親指でプッシュしながら走行させることこそFit1.5Tには相応しい。
この点でFit1.5Tは、明らかにDEMIO(Cozy)とMARCHとは異なったカラーを手に入れたことになる。
但し、裏を返すとDEMIO(Cozy)とMARCHのゆったり感は、持ち合わせていないともいえる。
こういった夫々のコンパクトカーのキャラクターの相違が選択する側を大いに悩ませてくれるわけで、大変面白いと感じているところだ。
コンパクトカーを選ぶ際には、必ず試乗され、ご自身の感性に問い掛けることをお勧めしたい。




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