私は、街の試乗屋さん

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Nov.2002
ATENZA Sedan 23E IMPRESSION 
(マツダアテンザ試乗インプレッション)


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2001年10月に開催されたモータショーでお披露目したATENZAは5doorのみであったが、ラインナッ
プに4door Sedanが加わり2002年5月、マツダ待望のデビューを果たした。
マツダは、1989年のマツダ・ユーノスロードスター&ユーノス・300,1990年のユーノスコスモ,1991年のRX-7&マツダ・アンフィニMS-9,1992年のマツダ・ユーノス500と立て続けに斬新なデザインを市場に投入した時期があったが、デザイン的に成功したのはロードスターとRX-7のみで本当に残念だが結果的にSedan,Coupe系ではヒットに結び付くことはなかった。デザインが悪いのではなく、不運にもその時代の日本には受け皿がなかったのである。そうはいっても時代を読むデザイナーの眼力の誤りは、結果論としても認めざるをえない。しかしながらこの中にあって、ロードスター&RX-7はスポーツカーというカテゴリーの中で機能美という点で認知されたといえると思う。(この背景にはマツダの技術屋さんのスポーツカーとしての機能に対する並々ならぬこだわりが対となっていたことを忘れることは出来ない。)
この様に見てくるとATENZAはマツダの得意とするスポーツする楽しい車というコンセプトで開発された訳だからその機能美を主張するデザインにとことんこだわって欲しかったし、そういう意味合いからすれば、あえて5doorと4door Sedanを設ける必要はなかったのではなかろうか?コスト的にも統合したほうが良いし、一車種であればより機能美を追求したデザインを織り込める利点もあったのではないか?又、2車種としたことによってメーカーの主張があいまいになってしまうマイナス面もある。あくまで『街の試乗屋さん』の私見であるが、マツダの内面的な生真面目さ(スポーツという機能へのこだわり)を激しくアピールするエクステリアであって欲しいということなのである。この様な観点からエクステリアを総括するとやや辛口かもしれないがまだまだワクワク度が不足していると思うのである。マツダの勝負車というのであれば、尚さらである。
さてインテリアであるが、個々のパーツ間のバランスが悪いと感じる。色合いとか大きさ等がアンバランスな印象を与えている。センターパネルをチタン調からウッド調にオプションで変更出来るが、こういった手法は、一昔前のもので個人的には好まない。
人間工学に基づく高い機能を追求した各種スイッチ類の配置等には技術屋さんの真面目さを感じるが、インテリアとしての総合的なバランスに配慮したものでなければならない。
ここまでは、大変辛口の批評となったがATENZAは非常にコストパフォーマンスの高い車で、リッター当たり価格は、国内sedan系ではカローラG 2.2D 5MT(ディーゼル)の720K\/L(00/8メーカ公表価格より算出)を除き、ガソリン車中ではATENZA sedan 20F(2.0L)は、900K\/L(02/5メーカ公表価格より算出),ATENZA sedan 2.3E(2.3L)では929K\/L(02/5メーカ公表価格より算出)と2.0L,2.3Lクラスでいずれもトップの低価格を実現している。ちなみにBLUEBIRD SYLPHY2.0Lは、1032K\/L(00/8メーカ公表価格より算出)である。ここでBLUEBIRDSYLPHY2.0Lと装備面を比較してみるとATENZA2.3Eは、フルオートエアコン,6連奏CDチェンジャー,運転席・助手席SRSエアーバック,サイドエアーバック,カーテンエアーバックが標準装備であるが、BLUEBIRD SYLPHY2.0Lでは6連奏CDチェンジャーとサイド及びカーテンエアーバックは装備していない。この比較においてATENZAのコストパフォーマンスが非常に高いことがわかる。コスト低減への努力を想うとマツダさんには深い敬意を表したい。
ただ残念なのは、排出ガス規制値が平成12年基準排出ガス50%レベルに留まったことだ。
(排出ガス規制値は03/7/9現在”超・低排出ガス車”レベルであると発表された。)




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ROAD IMPRESSION
シートは硬くもなくやわらかくもないという印象だ。短時間試乗において長距離運転時の疲労感を推測することは、やめにしておく。
アイドリング音は、至って静かであり、アイドリング時に車体を伝わってくるエンジン振動等も皆無に近いと感じた。アクセルをゆっくり踏み込み試乗コースへ出てからの第一印象であるが、私に積極的に何かを訴えてくる車という印象は持ち得なかった。試乗コースには直線道路が多かったことも第一印象を希薄なものにしてしまった要因といえるかもしれないが・・。
ここで希薄といったが、人間でもそうだがとってもいい面をもっているのだが表現力が不足していて損をしているケースと同じような気がした。良く言えば、『能ある鷹は、爪を隠す』というところか。車の乗り味というのはなんとも難しいものかとあらためて頭を抱えてしまった。このまま前評判のいいアテンザの評論を終了することにはどうも釈然としないものがあったので、別のディーラーさんでセカンド試乗を試みることにした。特にファースト試乗では分かりにくかったアイテムについてやや過激に攻め込んでみることにした。
まずは、コーナリングフィール(約80q/h+α)であるが、中速コーナーで徐々に速度を上げていってもステアフィールに安心感があり、攻めてみるか?という気にさせる要素をもっていることが判明した。ステアリングレスポンスは、ステアリングの舵角に対して驚くほど敏感である。(並のセダンではない。)感心したのは、故意にステアリングの角速度を増してもリヤがしっかりと踏ん張っている感があり、結果として姿勢変化が極めて少ないことである。
この様にステアフィールに優れているアテンザであるが、通常の直進走行時においては、ステア操作に気を使うことは全くなく、むしろこれだけのステアリングレスポンスの持ち主であることを気づかせないのである。(このさり気なさ=『能ある鷹は、爪を隠す』なのである。)
実は、ファースト試乗においてもATの出来のよさには感心したのだが、セカンド試乗でのアクセルを深々と踏み込むキックダウンにおいてもその滑らかな追随性は、とても4ATとは思えない気持ちのよさを提供してくれる。通常の4ATであれば、ギヤ比が離れている分変速ショックを伴うはずであるが、これを電子制御によりきめ細かくコントロールし、最適化した努力を窺い知ることが出来る。試乗車2.3Eに装着されている手動でギヤチェンジ可能なアクティブマチックも非常にレスポンスに優れていてスポーティー走行も十分に楽しめる。
ブレーキフィーリングであるが、初期のノーズダイブを除けば、素晴らしいの一語に尽きる。
言葉で表現すると『ジワギュッギュッギュウ!!』・・・・お分かりいただけただろうか?(ご自身でブレ-キングなされば恐らくパッドが締め上げられていく様が浮かぶと思います。)
パニックブレーキではなくことさら止まることを意識することのない通常のブレ-キングであっても上述した強力なブレーキフィーリングを提供してくれるのである。ブレーキの立ち上がりがすこぶるいい為に初期のノーズダイブの量も増加すると思うが、サスペンションへの配慮を是非ともお願いしたい。折角トップを目指して開発したブレーキであれば、なお更である。また一般のドライバーは、ノーズダイブが強い程、不安に思うものであることも付け加えておく。
モーターショーで見たATENZAへの印象は、極上の走りを提供してくれるスポーツモデルであった。そういう意味では、もっと外交的であって欲しいのだ。確かに中身のいい車であるのだが、内向的であるから一般の人にはわかり難い。
そこで提案なのだが、これほどまでに技術屋さんが努力をして開発したアテンザの良さは、開発した技術屋さんが最も理解しているわけだから、ディーラーに開発者を常駐させ、直接お客さんにアピールする位のことをやったらいいと思う。(常駐が無理なら試乗したお客さんに試してもらうポイントをまとめ、営業さんへそれを伝達しておく方策はどうか?)
アテンザは、四六時中車に乗っている評論家さんならその良さが分かるだろうが、一般の人にただ単にBMWを超えた等といってみても容易に賛同を得ることは出来ない。(私見だが、その車固有の味を出し、それが認知される道は険しい。そういった意味では、残念だがまだまだBMWに分があるのである。)
故に先ほど申し上げた努力が必要なのである。良いものを安く提供しようと必死に努力した技術屋さんの姿が目に浮かぶだけにアテンザの良さをもっとユーザーにアピールすべきであり、決して浪花節の世界だけで終わらせてはいけない。



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