GMの小型車戦略の一環としてスズキとGMで共同開発されたCHEVROLET CRUZEに試乗した。排気量は、
1.3と1.5リッターがあるが試乗した車は1.3リッターである。1.3リッターは、スズキからで1.5リッター車は、GMオートワールドから販売される。グレードはEとXの2グレードで、試乗したXタイプには革巻きステアリングホイール（E；ウレタン）,革巻きATシフトノブ（E；ウレタン）,アルミホイール（E；鉄ホイール＋センターキャップ）,ルーフレール（E；レス）,シェードバンド付フロントガラス（E；レス）,オートエアコン（E；マニュアルエアコン）,電動格納式ドアーミラー（E;手動格納式）等が装備され、Eタイプとの差別化を図っている。
試乗した車はFFだがEMCD（Electro Magnetic Control Device)という電子制御カップリング式を採用した4WD車の設定もある。4WD車のみの装備としては、ヒーテッドドアーミラー＆シートヒータがある。これらの装備は、外車ぽくって○。
さて、少し辛口の批評を言わせていただくが、この1.3＆1.5リッタークラスにはVITZ,Fit(1.3リッターのみ)という強力なライバルが存在する訳だがこれらを凌駕しうるだけの強烈な印象をエクステリア＆インテリアから感じることは出来なかった。
まずエクステリアのプロポーションからお話すると車幅に対する車高が高く、かつ全長が短い為にアンバランスに見える。具体的な数値を追いかけると車幅は、VITZ1660mm、Fit1675mmに対してCRUZE1610mmと最も狭く、逆に車高はVITZ1500mm、Fit1525mmに対してCRUZE1560mm（Eタイプ）と３車中最も高いのである。又、全長について言えばVITZ3630mm,Fit3830mmに対してCRUSE3625mmでVITZとほぼ同等であり、VITZのバランスの良さが見えてくる。Fitは長さを生かし、フロントガラスを寝かせて全高の高さを感じさせないプロポーションに仕上げている。CRUZEは前述したディメンションが災いしてか車幅が狭く腰高なスケールの小さい車に見えてしまうのである。又、このディメンションを払拭するほどの目を引くデザインは取り入れられていない。フロントマスクにシボレーのマーク、リアにはCHEVROLETのエンブレムが輝いているが、デザインを煮詰めなければシボレーブランドだけに頼っても他車を圧倒することは難しいと思う。
次にインテリアであるが、斬新なデザインではない。要するにエクステリアと同様に他車を真剣に凌駕するぞ！という意気込みは、残念ながら感じることは出来なかった。
但し、シートにはこだわっている。シートは、セミバケットタイプで綿密な体圧分布に基づきクッションに硬度の異なる３種類のウレタンを使い分ける工夫によりホールド性と圧迫感のない乗り心地を実現したという。さらに運転席にはシートリフターとランバーサポートが採用されCRUZEの名に恥じないロングクルージングを可能とするシートとなっている。
CRUZEのカードホルダーは運転席側インパネ下にあり使い勝手がいい。又、カードを差し込むだけで保持してくれるので煩わしくないのも○である。但し、2WD車のみで4WD車にはない（残念）。VITZにはカードホルダーの設定はないのでツイングラブボックス（助手席）の上段又は、インパネ中央にあるプッシュオープン小物入れに収納することになる。Fitは、サンバイザーの裏側にカードホルダーが設定されている。
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ROAD IMPRESSION
運転席に座ってみるとエクステリアから受けた印象のとおりで幅が狭いと感じてしまう。この点ではどうしてもVITZ、Fitに一歩譲らざるを得ない。運転時の視界に関しては、シート位置が高いのでVITZ,Fitと同様に良好である。
CRUZEの動力性能を試すべく最初からアクセルを開けてみるとATにとっては不意をつかれたのかギヤの選択に迷いを生じるかのようなギクシャク感を示した。ATの出来は、今ひとつだが、1.3リッター車としての加速感に不満はなかった。但しこの加速感は、官能的なものではなく、面白さはない。この点ではVITZ
RS(1.5L)の方が面白いと感じさせる。
直進時のステアリングインフォメーションは希薄である。このような感応的なフィーリングを1.3Lクラスで追い求めてはいけないものなのか？走りのCRUZEとして他車を凌駕するつもりならば、メーカーには頑張ってもらいたい。ここでワインディングロードを少し攻めてみた印象をお話したい。コーナー進入時にはステアリング切れ角に対してやや遅れてコーナリングフォースが発生する感覚を伴う。イメージ的にお話するとコーナー侵入時にステアリングを切ると車体はサスペンションに受け止められロールを始めるが、この時にストロークが充分あるのはいいことだが恐らくロールセンターが高い為にロール角が大きくなり、車体が充分に沈み込んでからタイヤが仕事を始めるのでドライバーには感覚的に遅れとして認識させられるのではないか。この感覚を頭に描きながらコーナー手前で適度なブレーキングによる荷重移動を行いコーナリングフォースを発生させる準備をしておけば、ストロークを充分に感じながらの快適なコーナリングも可能ではある。逆に言えば、CRUZEの魅力はたっぷりとしたこのサスペンションストロークによる乗り心地のよさであるとも言える。
ATセレクト位置をD→2へシフトしてみるとアクセルのつきも良く、このエンジンの軽快なレスポンスを味わうことが出来た。ワインディングロードでは2レンジ固定での走行をお勧めしたい。
加速時のエンジン音は、室内にはっきりと入ってくる。主観的には心地よい排気音にするか？もう少し騒音レベルを低減する必要があると思う。VITZ
RSの場合ではわざわざマフラーをチューニングし、心地良い音をドライバーに伝えようとしている。もう一工夫CRUZEには必要ではないか？
最後にこのクラスの小型車で重要な要素である燃費と車両本体価格をVITZ,Fitと比較しでみた。
燃費(カタログ値）は、VITZ U(1.3L),Fit,CRUZE、夫々18.0Km/L,23.0Km/L,17.4Km/Lでやや2車に対して劣っている。又、車両本体価格を排気量で割ったリッター当たり価格は、VITZ(Uタイプ
5doorオーディオ付）97万円(02/1メーカ公表価格より算出),Fit(Wタイプオーディオ付)94万円(01/6メーカ公表価格より算出),CRUZE(Eタイプオーディオレス）99万円(01/6メーカ公表価格より算出）でCRUZEはオーディオレスであり、かなり割高であることがわかる。
以上、価格、燃費等を含めた総合評価において、CRUZEは苦戦を強いられると予想せざるを得ない。
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