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LEXUS
レクサス IS F VS BMW M3セダン装備&性能比較                
May.2008
LEXUS IS F IMPRESSION
レクサスIS F試乗インプレッション)


今回試乗した車は、レクサスIS Fである。
IS Fの心臓は、LS460に搭載されている排気量4608ccV8エンジンのストロークを83mm⇒89.5mmに延長
し、排気量を4968ccに引き上げた5.0リッターV型8気筒DOHCエンジンを搭載、チタンバルブの採用やポート形状などIS F専用のチューニングを施し、最高出力423PS/6,600rpm、最大トルク51.5Kg.m/5,200rpmを発生する。レクサスとしては初の試みとなるエンジンサウンドのチューニングを施し、ドライバーの感性を刺激するサウンドを聞かせると豪語する。ストリートからサーキット走行までを意識し、吸気量を低中速域と高速域で可変させ、トルク特性をデュアルに変化させるデュアルインテークを備え、ストリートからサーキットまで必要に応じた吸気制御を行う。またサーキットなどでの高Gコーナリングの際にもオイル循環を確保する”スカベンジポンプ”を装備。
ミッションは、最速時には0.1秒で変速を完了するという2ペダル8速AT;8-Speed SPDS(Sport Direct Shift)を採用、2速〜8速全域をロックアップ(メカニカルに直結)させることにより、エンジントルクをダイレクトに伝達。シフトダウン時にエンジン回転数を同期させるブリッピングコントロールを備える。ブレーキシステムには、フロント対向6ポッドアルミ製キャリパー(ブレンボ製/LEXUSロゴ付)・φ360mmドリルドベンチレーテッドディスク、リヤ対向2ポッドアルミ製キャリパー(ブレンボ製/LEXUSロゴ付)・φ345mmドリルドベンチレーテッドディスクが奢られ、ストッピングパワーを高めている。タイヤ&ホイールは、フロント;225/40R19 89Y+鍛造アルミホイール(BBS製)、リヤ;255/35R19 92Y+鍛造アルミホイール(BBS製)を標準装着、ポリッシュ仕上げのBBS製アルミホイールがメーカーオプションで用意されている。
安全面をフォローするVDIM(Vehicle Dynamics Integrated Management;統合制御システム)は「Normal」モードと「Sport」モードを選択可能とし、「Sport」モードでは制御の介入を極力車の限界性能を引き出す側に振り、ドライビングプレジャーと安全性の両立を図っている。
ボディカラーは、IS F専用色の”エクシードブルーメタリック”を含め6色用意されている。

1.エクステリア
IS FがISと異なることは、盛り上がりを見せるボンネット、メッシュフロントグリル&バンパー、バンパーのエアインテーク、フロントのオーバーフェンダー&サイドエアーアウトレット、両サイドのFエンブレム、リヤスポイラー、リヤFエンブレム、左右タテ2本出しのエキゾーストパイプなど容易に分かるもので、IS Fとして十分に差別化が図られたフォルムであるとは思うのだが、一点気になることがある。それは、フロントに比べるとリヤフェンダーの造形に差異が見られないことへの不満である。日本が誇るスーパースポーツセダンを豪語するならば、リヤフェンダーの造形にも勇気を持ってメスを入れて欲しかったと思うのである。コストを考慮した共通化の精神は理解しつつも、LEXUS IS Fとしての意気込みを優先して欲しかった。トレッドのディメンションをIS350 versionSと比較するとIS350 versionS;フロント1535mm(装着タイヤ幅;225mm、アルミ;8J)、リヤ1525mm(装着タイヤ幅;255mm、アルミ;8
1/2J)、IS F;フロント1560mm(装着タイヤ幅;225mm、アルミ;8J)、リヤ1515mm(装着タイヤ幅;255mm、アルミ;9J)となりフロントのみオーバーフェンダー化したことが推測出来る。FR車でありながらトレッド幅はフロントの方が広いのである!?

2.インテリア
基本的にはISのインテリアの造形ということもあり、特段の感動は覚えない。超スポーツセダンといったインパクトを受けることはなく、やはり落ち着いた高級セダンといった趣のほうが強い。しかしながら、幾つかのIS F専用としたアイテム〔アルミ切削加工を施したメーターリングとメーター指針にブルーカラーのLEDを採用したタコメーター&300Km/hスケールのスピードメーター、油温計&電圧計、Fエンブレムをシート座面サイド部、ステアリング下部、リヤセンターコンソール中央部などに配し、さりげなくFを主張、本革巻き(ディンプルシボを施した本革を採用)シフトノブ&ブルーのステッチを織り込んだ本革巻き(ディンプルシボを施した本革を採用)ステアリングホイール、操作性向上のためレバー部を拡大、金属メッキを施したパドルシフト(+&-の刻印にもブルーカラーが施されている。)、エンジンスタート&ストップボタン、センターコンソールとスイッチベースのパネル(シルバーリーフウッド;標準装備、シルバリースターリングファイバー;オプション)、セミアニリン本革スポーツシートなど〕の取り組みについては、差別化の意味合いからも大いに敬意を表しておきたい。

3.シート
標準装備となるIS F専用セミアニリン本革スポーツシートには、ホワイトとブラックが用意されている。試乗車は、ホワイトであったが色合いも美しく高級感が感じられた。着座感は、強く意識させられるものではなく、極自然体で居られるシートであり長距離走行時の疲労感は少ないと推察する。サイドのサポート性については、高速道から料金所へのタイトコーナー及び高速道における車線変更時程度のフィールしかお伝えできないが、体のぐらつきを意識下におくことはなかった。
リヤにもサイドのサポート性を考慮したスポーツシートを2座設け、スポーツ走行に配慮している。

4.変速機〔8-Speed SPDS(Sport Direct Shift)〕
変速スピード最速時0.1秒というSportモードをトライした。パドルによるシフトフィールは、高速道でトライしたが、確かに通常のATとは明らかに異なり、全く滑り感を感じさせない小気味のいいシフトチェンジが味わえる。ブリッピングを伴うシフトダウンも巧みである。しかし余計なことを言わせていただくが、確かにシフトチェンジのすばやさを感じさせはするが、8速をどう使うか?正直今何速に入っているのかと妙な神経を使うことになるのである。次にDレンジ固定でのフィールだが、アクセルワークに即した適切なギヤを車側が判断し、勝手に選択してくれるので面白みはないが8速を自在にコントロールした走りが手に入る。試しに6速走行時にアクセルを深めに踏み込むといっきに3速までシフトダウンを敢行し、即加速態勢に入る。Dレンジ Sportモードを選択しておけば、アクセル操作だけでだれでも容易にIS Fの速さを手に入れることが出来るのである。

5.アクセルワーク
もちろん僅かなアクセルワークで緩々と走り出すことは、大排気量、大出力の車であっても容易だ。高速道でトライした加速時のアクセルレスポンスは、ドライバーの意思と直結したダイレクト感のあるもので、まさにノーマルアスピレーションの大トルク車と感じさせる力感溢れる加速力を見せつける。IS Fは、加速させることをことさらに意識することなく、単にアクセルをやや深めに踏み込むだけで、ブルーの指針をメーターの中央付近に到達させることは意図も簡単であり、それは、IS Fにとって日常の範疇であると思えた。

6.エンジン音
アイドリング時の音質は、通常のLEXUSたちとは異なり”ドライバーに只者ではないぞ!”ということを伝えてくる。3600rpmから音質が変わると言う説明を受け、右足に力を込めると確かに派手なビート音が耳に届く。アクセルを煽る度に”ドッドッド!ドッドッド!”といった音色を聞かせる。加速感もサウンドとリンクして付いてくるのだが、個人的にはこの派手なビート音が最高の昂揚感を与えてくれるかというとちょっと疑問である。故意に作り出された音質という感が強く、どこか興ざめしてしまうのだ。極自然にV8のビートを上質さと力強さを併せ持ったかたちで伝えてくれる方が個人的には好みである。(音の話は、個々人で好みの分かれるところと思う。あくまで街の試乗屋の一感性で申し上げたまで)

7.ブレーキフィール
高速度からのブレーキングに際しても極めて安定した制動力を示す。コントロール性もよく、扱いやすい。信頼性が高いと感じた。高速道において、安心してアクセルを深く踏み込めるブレーキ性能である。街中の低速度走行時には若干カックンぎみになるので少し気を使う必要がある。

8.ステアフィール(Sportモード選択時)
やや人工的な重さ感である。あまり表現がうまくないかもしれないが、どこかねっとりとした粘り気が強いフィールだ。高速度走行時にステアリングを左右に小刻みに動かしてみたが、車両は無反応で進路が乱れることはない。路面にタイヤが張り付いている印象で、全く気を使う必要もないのだが、個人的にはもう少しダイレクト感が欲しいところだ。高速度(メーター指針は中央近辺)走行時に故意に角速度を速めた車線変更を試みたが、タイヤが路面を捕らえて離さないと感じさせつつ、車両の挙動は実に安定していて、全く不安感を抱かせることはなかった。これは、ちょっと感動ものだ。とにかく路面にしっかりとタイヤが張り付き、けっして離さないと感じさせるところが凄いのである。

9.乗り味
低速度走行時における凹凸乗り越し時のフィールは、いやな突き上げ感がなくスポーツサスといったハードな印象を抱かせない。高速走行時における乗り味は、極めて路面との追従性がよく粘り気が感じられるもので、超スポーツモデルの強大なパワーを安心感をもって受け止めてくれるフィールだ。レクサスの超スポーツモデルでありながら、IS Fは、けっして高ぶった危うさを示すものではなく、スポーツ走行のなかにも穏やかなときめきとやすらぎを与える上質な乗り味を提供していると感じた。

10.コーナリングフィール
今回の試乗コースは、とある高速道路の1区間を往復するものであったため、コーナリングフィールについては、高速道から料金所へ向かうタイトコーナー及び料金所を出て高速道へ向かうタイトコーナーのフィールのみを報告する。ロール感は強制的に突っ張ったものではなく、適度にストローク感が感じられるものだ。ロール姿勢は、安定していて追い込んでいける余裕を感じさせた。




以下、BMW M3 Sedanと外観寸法、動力性能面、価格面及び燃費について比較した。(下表参照)
車種 外観寸法 動力性能面 価格面 .燃費
(km/L)
全長 全幅 全高 A
重量/馬力
(Kg/PS)
B
重量/トルク
(Kg/Kg.m)
C
A×B
(Kg2/PS・Kg.m)
価格/リッター
(¥/L)
価格/馬力
(¥/PS)
LEXUS IS F 4660 1815 1415 4.0 32.8 131 1,468,446 17,246 8.2
BMW M3 Sedan 4585 1815 1435 3.9 40.2 157 2,493,838 23,745 -
NOTE)

1.表記の燃費値(BMW記載なし)と外観寸法値は、LEXUS IS F;07/10現在、BMW M3 Sedan;08/2現在の夫々のメーカーカタログ記載値。
2.燃費値と外観寸法値を除く表記の数値はLEXUS IS F;07/10現在(カタログ記載値&プライスリスト)、BMW M3 Sedan;08/2現在(カタログ記載値またはプライスリスト)のメーカー公表値を用いた計算値

・燃費は、BMW M3 Sedanの数値が不明なため比較できない。
・動力性能面〔上表C値(動力性能の一つの指標)における単純比較では数値上レクサスIS Fが優勢]、価格面では馬力当たり価格及びリッター当たり価格においてレクサスIS Fが優位である。(参考迄)
(価格面の比較にはレクサスIS F:\7,295,238(消費税抜)、BMW M3 Sedan:\9,972,857(消費税抜)を用いたが、詳細については、”レクサス IS-F VS BMW M3セダン装備&価格比較”を参照方

街の試乗屋のコメント(補足)
ワクワクドキドキして車から離れたくなくなる程の濃いキャラは、持ち合わせていない。なぜならばIS Fは、工業製品としては実によく出来ている(路面との張り付き度の高い足回り、高速度からのコントロール性のいいブレーキフィール、8-Speed SPDS(Sport Direct Shift)による素早いシフトワーク、ツキのいいアクセルレスポンスなど)のだが、真にドライビングに悦びを与える感性領域については、今一歩の感があるからだ。生意気な街の試乗屋の一感性で申し上げて恐縮だが、理詰めのみで計算され生み出されたと感じさせる”派手なエンジンサウンド”及び”派手なエンジンサウンド”に対して音質的に合致しない”ブリッピングサウンド”、路面との張り付き感を持ち合わせているしっかりとした足回りに対してどこか人工的で直結しないステアリングフィール、8-Speed SPDS(Sport Direct Shift)は、変速スピードの小気味よさを認めつつも無機質なフィールである。(マニュアルトランスミッションも設定すべき!)など、”ワクワクドキドキ”する要素とは何か?を今一度洗い直し、研ぎ澄ましていただきたいと勝手ながら思うのである。

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