私は、街の試乗屋さん

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Dec.2004
SUZUKI New SWIFT IMPRESSION
(スズキ スイフト試乗インプレッション)


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新型SWIFTは、従来の軽自動車の延長線上で作られてきた車とは一線を画している。このことは、従来型SWIFTの外観寸法と比較するとよく分かる。(下表参照)

従来型SWIFTとの外観寸法比較
タイプ 新型 従来型 (差)
全長 3695mm 3615mm +80mm
全幅 1690mm 1600mm +90mm
全高 1510mm 1540mm -30mm
全長、全幅は拡大され、全高は低められている。

さて均整がとれたプロポーションを手に入れたエクステリアは、ボリューム感とヨーロピアンテイ
スト溢れる洗練されたデザインに仕上がっている。ヘッドランプとテールランプ及びハッチ形状、各絞り形状とライン構成、ブラックに塗られたピラー類等、相当気合いが入っており、数多い小型ハッチバック車のなかで独自性をはっきりと主張できている点を評価したい。失礼だがSUZUKIの車とは思えないセンスのよさがこの車から伝わってくる。
インテリアについてもエクステリア同様にSUZUKIの本気度が伝わってくるもので、派手さはないが一つ一つのパーツには質感への拘りが感じられる。また各パネル間の表面処理、隙間及び段差等にも気を使っており全体として高品位な仕上がりへの努力がみられる。
基本グレードは、1.3XE、1.3XG、1.5XSでFFと4WDが全グレードに用意されている。ミッションは、1.3XE、1.3XGには4ATと5MTが、1.5XSには4ATのみが組み合わされる設定となっている。
ボディーカラーは、パワー・ストーン(身につける人にパワーを与えると言われている)をイメージした8色、すなわちENERGY COLOR;3色(ルビー、ガーネット、サファイヤ)、MONOTONE COLOR;3色(クリスタル、スモーキークォーツ、ジェット)、ELEGANCE COLOR;2色(パール、アメジスト)の各ストーンイメージのカラー設定となっているのである。こういったハートに直接的に働きかける仕掛けは、女性にも受けそうだ。
さて次に新型SWIFT1.3XGとの比較車としてFIT1.3A、Ist1.3F、DEMIO casual1300、PASSO1.3Fを挙げ、まず夫々の外観寸法、室内寸法、最小回転半径、タイヤサイズについて比較してみよう。(下表参照)

1.外観寸法、室内寸法、最小回転半径、タイヤサイズ比較
車種 外観寸法 室内寸法 最小回転半径 タイヤサイズ
全長
mm
全幅
mm
全高
mm
A
長さ
mm
B

mm
C
高さ
mm
D
(A×B×C)
m3
SWIFT1.3XG(4AT) 3695 1690 1510 1885 1385 1160 3.03 5.2m 185/60R15
FIT 1.3A(CVT) 3845 1675 1525 1835 1385 1280 3.25 4.7m 175/65R14
PASSO 1.3
F package(4AT)
3595 1675 1535 1830 1400 1275 3.27 4.3m 155/80R13
Ist 1.3F(4AT) 3855 1695 1530 1805 1395 1260 3.17 5.3m 185/65R15
DEMIO
casual 1300(4AT)
3925 1680 1530 1800 1410 1290 3.27 4.9m 175/65R14
NOTE) 表記の数値はSWIFT(04/11時点)、FIT(04/7時点)、PASSO(04/6時点)、Ist(02/5時点)、DEMIO(02/8時点)の各メーカーカタログ記載値の通り。(但し、上表D値は、計算値)

SWIFTは、室内長さとタイヤサイズにおいて優位であるが、室内容積(D値)、最小回転半径では芳しくない。しかし、SWIFTは、PASSOのように室内容積と最小回転半径には拘っているが、タイヤサイズはプア-な買い物車とは異なり、どちらかと言うと走りに軸足を移している車と見ることが出来る。こういった見方からSWIFTに近い同種の車を敢えて挙げれば、同じく15インチサイズのタイヤを覇くIstであろう。

次に動力性能面、価格面、燃費について比較してみよう。(下表参照)

2.動力性能面、価格面、燃費比較
車種 動力性能面 価格面 燃費
A
重量/馬力
(Kg/PS)
B
重量/トルク
(Kg/Kg.m)
C
A×B
(Kg2/PS・Kg.m)
価格/リッター
(¥/L)
車両本体価格
(消費税抜き)
燃費
(km/L)
SWIFT1.3XG(4AT) 11.21 85.00 953 843,373 1,120,000 17.0
FIT 1.3A(CVT) 11.63 82.64 961 858,850 1,150,000 24.0
PASSO 1.3
F package(4AT)
10.33 73.81 762 863,531 1,120,000 18.0
Ist 1.3F(4AT) 11.49 81.30 934 963,020 1,250,000 18.0
DEMIO
casual 1300(4AT)
11.87 85.71 1017 849,407 1,145,000 16.2
NOTE) 1.表記の数値はSWIFT(04/11時点)、FIT(04/7時点)、PASSO(04/6時点)、Ist(02/5時点)、DEMIO(02/8時点)の各メーカー公表値を用いた計算値である。(車両本体価格は価格表、燃費はカタログ記載値の通り。)
2.価格面の各数値の算出に当たっては消費税を含まない車両本体価格を用いた。

動力性能面での一つのみかけの指標であるC値(この数値が小さい方が動きが軽快であるとみる)をみるとSWIFTは、PASSO、Istに次いで3番手である。但し、一番手のPASSOの場合は、他4車種と比べてこのC値が18%〜25%と極端に低いことからコストダウンの洗礼!?による大幅な軽量化が図られていると見たほうがいい。つまりPASSOの場合は他4車種と比べて剛性感を伴った乗り味には拘っていないと考えたほうが良い。この点から考えるとPASSOはSWIFTにとって脅威となる車ではないともいえよう。次に価格面での指標であるリッター当たり価格でみるとSWIFT、DEMIO、FITの順となる。ここで車両本体価格(消費税抜き)に注目するとSWIFTとPASSOは同額の\1,120,000である。つまりSWIFTの方がPASSOよりも排気量がデカイのである。(SWIFT:1328cc、PASSO:1297cc)価格の絶対値が同じではお買い得感はわかないが、リッター当たり価格を優位性の一つの目安にすることも一考である。燃費については、CVT搭載車のFITに大きく水を開けられておりSWIFTとしてもCVT搭載車が欲しいところである。
次に装備面での差異を見てみよう。

3.各車装備比較
(差異のある主たる標準装備のみを抽出し比較)
項目 SWIFT
1.3XG
(4AT)
FIT 1.3A
(CVT)
PASSO 1.3F
(4AT)
Ist 1.3F
(4AT)
DEMIO
casual
1300(4AT)
安全装備 歩行者傷害軽減ボディ
頭部傷害軽減構造
インテリア
チャイルドシート固定用
テザーアンカー
ブレーキペダル後退
抑制機構

(クラッシャ
ブルブレーキ
ペダル)
頚部衝撃緩和シート
(フロント)
項目 SWIFT
1.3XG
(4AT)
FIT
1.3A
(CVT)
PASSO
1.3F
(4AT)
Ist
1.3F
(4AT)
DEMIO
casual
1300(4AT)
快適装備 フルオートエアコン

(抗菌処理
タイプ)

(1.3w
標準装備)

(1.3FL
標準装備)
マニュアルエアコン
エアフィルター ー(1.3w
標準装備)
CDプレーヤー
(AM/FMラジオ付)
CD・MDプレーヤー
(AM/FMラジオ付)
2スピーカー
4スピーカー
6スピーカー
電動格納式リモコン
ドアミラー(カラード)
電動リモコンドアミラー
(カラード)
キーレスエントリー
(アンサーバック)
キーフリーシステム ー(1.5XGに
標準装備
ー(1.3W&
1.5Wに
標準装備
電磁式バックドア
オープナー
運転席ドアロック
連動フューエルリッド
ロックシステム
項目 SWIFT
1.3XG
(4AT)
FIT
1.3A
(CVT)
PASSO
1.3F
(4AT)
Ist
1.3F
(4AT)
DEMIO
casual
1300(4AT)
インストル
メントパネル
タコメーター
インフォメーションディスプレイ
(時計・外気温・瞬間燃費)
時計
燃費計
インテリア 抗菌インテリア

プラズマクラスター
運転席バニティミラー
(チケット
ホルダー
付)

(チケット
&カード
ホルダー
付)

(チケット
ホルダー
付)
助手席バニティミラー
エクステリア 熱線吸収グリーンガラス (全面) (全面)
フロント
ウインド
シールドのみ

フロント
ドア&
リヤドア

フロント
ドアのみ
UVカットガラス フロント
ドアのみ
(全面) (全面) フロント
&リヤドア
リヤク
ウォーター&
バックドア
フロントドア
&フロント
ウインドウ
盗難防止 イモビライザー
セキュリティーアラーム
システム
NOTE)1.表記の各項目についてはSWIFT(04/11時点)、FIT(04/7時点)、PASSO(04/6時点)、Ist(02/5時点)、
    DEMIO(02/8時点)の各メーカーカタログより抜粋した。


SWIFT1.3XGの主たる固有の装備(上表中印)は、フルオートエアコン、6スピーカー、インフォメーションディスプレイ、セキュリティアラームシステムで、他4車種に比べて充実度は高い。安全装備の面においても比較的充実度は高いのだが、惜しいのは、後方からの追突を考慮した頚部衝撃緩和シート(フロント)が装備されていないことだ。
PASSO1.3Fの主たる固有の装備(上表中印)はキーフリーシステム、プラズマクラスター(除菌イオン)、助手席バニティミラーで、どちらかというと買い物車という視点にたった女性に優しい装備に重きがおかれている。女性への配慮としてもう一点挙げれば、PASSOFITには全面UVカットガラスが採用されていることだ。(SWIFTは、フロントドアのみ
収納スペースについては、項目が多岐にわたることからあえて上記比較表には入れていないが、FIT、PASSO、DEMIOの3車種と比べるとSWIFTは、必要最低限を確保しているものの収納スペースへの拘りは感じられない。このように見てくると新型SWIFTは、ハード面での装備では他4車種を凌駕しているといえるが、女性の視点にたった車づくりというソフト面ではやや不足気味といえそうだ。勝手を言わせていただければ、上述したパワー・ストーンをイメージしたボディーカラーの設定がハートに訴えるソフト面での仕掛けとすると装備の面においてももう一歩踏み込んで欲しかった。




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ROAD IMPRESSION
試乗したのは、1.3XG 4AT車である。
まずシートへの着座感は、硬いという印象ではなくどちらかというとソフトなのだが、ゆったりと落ち着けるシートだ。長距離ドライブも苦にならないかもしれない。(これは、直感だが・・・)そしてサポート性を確かめるべく故意に肩を左右に揺らしてみたのだが、ホールド感も悪くない。この時に感じたのがボディーのしっかり感で、ボディーが不用意に揺すられる感覚がほとんどなかったのだ。このことの裏付けとしてドアの締まり音にもふれておくが、チープな軽い”パン!”という音ではなく、”ボム!”といった低く品のある音を聞かせてくれたのだ。これには正直驚かされた。1.3リッターのコンパクトカーとは思えないワンクラス上の車格感だ。走り出してすぐにATの出来のよさが伝わってきた。変速ショックが極めて少なく、1.3リッター車としては、異例の品のいい加速感を味あわせてくれた。キックダウンも試みたが、変速ショックは実によく抑えられていた。マツダのDEMIOの4ATも出来はいいのだが、SUZUKIも十二分に肩を並べられる仕上がりだ。こういった制御系にもきちっとメスをいれ、従来の車格の引き上げを図ろうというSUZUKIの意気込みが強く感じられる。
アクセルワークについては、1.3リッタークラスなので、もちろん踏み込めば、ガンガン前に出て行くということではないが、どの速度域から踏み込んでも滑らかにレスポンスしてくれるフィーリングがいい。発進加速時には、ピーキーにエンジンが目覚める類のものではなく、ゆったりとトルクがたちあがっていく感じだ。だが加速フィーリングがリニアな為、もたもたしているという印象はない。その証拠といってはなんだが、気がつくと100Km/h近くの速度域へとドライバーがせっつく気持ちを持たなくともごく自然に達することが出来るといっておく。まあ1.3リッター車としては、丁度いい湯加減の加速フィールなのである。エンジン音についてだがアイドリング時及び走行中の車室内への騒音レベルは、低く抑えこまれていると感じた。この点は、シボレークルーズと比較してみれば、新型SWIFTの優位性がよくわかると思う。
ステアフィールについては、電動パワステにありがちなどこか捉えどころのない感じとは異なり、路面からの信号がステアリングにフィードバックされていると感じられるもので安心感が高い。また、ステアリングの操舵感が適度にしっとりとしていることもドライバーに安心感を与える要素となっている。もう一点特筆すべきは、舵のききが実に素直なことだ。ステアリングを切った分だけノーズが反応してくれる。当たり前といえば当たり前なのだが、こういった素直なステア特性を持った車は、新型SWIFTよりもお高い車でも意外に多くはない。新型SWIFTは、本当によく出来た車なのである。試乗コースにはワインディングロードと称するところはなかったが、80Km/h程度の中速コーナーを走行した感じは、上述した素直なステアフィールを手の平に感じながら駆け抜けていくというもので1.3リッター車以上の悦びを味わえると報告しておく。
ブレーキフィーリングは、街中での通常のブレーキングにおいてなんら不足はなく、ノーズダイブも抑えられていた。(高速走行時及びワインディングロードでのブレーキフィーリングは未確認)
乗り味についていえば、凹凸のいなし方がいい。足が仕事をしていることがわかる好フィーリングだ。私の感性にあっているのかもしれないが、適度な節度感がドライバーに伝達され、心地いいのだ。フワッ!グニャッ!という感じがないのがいい。コーナーをクリアーする場合に於いてもグラッとくるのではなく、しっかりと路面を掴みながら、そして不快なロール感がないのがいい。新型SWIFTは、ちょっと街中を走らせただけで車体剛性の高さを肌で感じることが出来る車なのである。
SUZUKI SWIFT1.3XGは、上述してきた通りお買い得感の高い車である。コンパクトカーをお探しの方は、是非一度試乗されることをお勧めしたい。



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