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NISSAN
Equipment&Spec(V36スカイラインクーペ VS BMW335iクーペ装備&性能比較)
Nov.2007
V36SKYLINE COUPE IMPRESSION
(日産V36スカイラインクーペ試乗インプレッション)


今回試乗した車は、V36スカイラインクーペタイプS(6MT、4WAS標準装備)である。

以下にV35スカイラインクーペ350GTとディメンション、燃費などを比較した。
項目 A B 差(A-B)
V36スカイラインクーペ
370GTタイプS
(6MT)
V35スカイラインクーペ
350GT
(6MT)
全長(mm) 4655 4640 +15
全幅(mm) 1820 1815 +5
全高(mm) 1390 1395 -5
ホイールベース(mm) 2850 2850 ±0
トレッド前/後(mm) 1545/1560 1535/1540 +10/+20
  室内 長さ(mm) 1965 2025 -60
幅(mm) 1465 1455 +10
高さ(mm) 1120 1135 -15
車両重量(Kg) 1650 1530 +120
タイヤ 225/45R19 225/50R17 +2inch,±0mm
245/40R19 235/50R17 +2inch,+10mm
ブレーキ
(フロント)
構造他 対向型4ポッド
(Akebono)
対向異径デュアル
ピストン
(brembo)
-
ローター径
(mm)
φ355 φ324 +φ21
最小回転半径(m) 5.5 5.7 -0.2
10・15モード燃費(Km/L) 9.4 9.3 +0.1
NOTE)上表はV36クーペ;07/6時点、V35クーペ;03/1時点のカタログ記載内容に基づく。

全長は、+15mm全幅は、+5mm全高は、-5mmとディメンションに大差はない。
・全長+15mmに対して、逆に室内長は、数値上-60mm
・車両重量は+120Kg増加したが、VVEL(バルブ作動角・リフト量連続可変システム)の新採用により排気量up(VQ35DEに対して198ccアップ)と出力向上(VQ35DEに対して53PSアップ)を図りながらも10・15モード燃費は、同等以上を記録。
・ブレーキシステムは、曙ブレーキ製でフロントのローター径がφ21mm拡大された。
・トレッドは前後とも拡大され、タイヤは19インチ(タイプS&SP)を標準採用。
・最小回転半径は、0.2m向上した。


V36スカイラインクーペに搭載されるエンジンは、吸気バルブの作動角とリフト量を連続的に可変させるVVEL(ブイベル)を新採用した型式VQ37VHR(DOHC V型6気筒排気量3696cc)で最高出力333PS/7000rpm、最大トルク37.0Kg.m/5200rpmを発生する。
グレードは、370GT、370GT TypeP、370GT TypeS、370GT TypeSPの4グレード、370GTと370GT TypePのミッションは5ATのみ、370GT TypeS、370GT TypeSPには5ATと6MTが用意されている
また4WAS(4輪アクティブステア)は、370GT TypeS、370GT TypeSPの両グレードに設定され標準で装備される。

1.エクステリア
フロントビューは、切れ長の鋭角形状を持たせたヘッドライトと両サイドの稜線がフロントグリルに向かってV字型を成し、V36セダンとの差別化を図りながら、なかなか戦闘的でアグレッシブな印象に仕立てられている。一方、サイドビューとリアビューはV35クーペからのイメージを引き継ぎながらもV36型であることを巧みに主張している。どこから見ても新型V36スカイラインであり、かつこれは見紛うことなくスカイラインクーペであることを見せ付ける巧みなデザインである。

2.インテリア
V36セダンのインテリアに対しては、ドア周りのパワーウィンドウスイッチのレイアウトとドアハンドルの形状が異なる程度ではあるが、なにより車好きにとって嬉しいのはV36セダンにはなかった6速マニュアルトランスミッションの操作ノブが備わっていることである(笑)

3.シート
V36セダンよりもスポーティーであり、V35クーペと比べると明らかな質感の向上が感じられるのである。着座感は体の収まりがよく自然体で落ち着ける感じだ。適度なホールド感も押し付けがましくなくていい。着座感に優れるため疲労感が少なく長距離走行時においても十分応えてくれるものと推測する。

4.変速機(6MT)
まずクラッチの操作フィールだが、軽々しいフィールではなく踏み応えが感じられるもので個人的には好ましい。6MTは、結構ショートストロークで"コクコク"と入る節度感には剛性感も伴い、マニュアルトランスミッションを扱っている悦びを純粋に感じられる操作フィールといっていい。
余計なことを言えば、重厚感のあるフィールゆえ、カチャカチャと不用意な操作(訳も無くシフトアップシフトダウンを繰り返す動作・・・!?)は似合わないといっておく。

5.アクセルワーク
アクセルワークによるコントロール性は良好で、ゆっくりとした発進時にもアクセル操作に気を使うことはない。
始めにVVELの威力を確認するため!?VDCをOFFし、エンジン回転を約4000rpmとして勢いクラッチをミートするとスキール音とともに僅かにリアを滑らせながら猛然と加速態勢に入っていった。FRらしさにおもわず笑みがこぼれ、VVELの力感に感動といったところだ。
中間域から車を加速させたいと思えば、どの速度域(街乗り試乗ゆえ限られるが)からでもアクセルを踏み込みこみさえすればドライバーの意思を裏切ることがないツキのよさを見せる。しかもその加速のさせ方は、唐突な尖がったものではなく滑らかな力感で盛り上がるきめの細かさを伴うものだ。V36セダン(これは5ATだが)よりもさらにコントロール性がよくかつ滑らかな加速フイールが感じられたのである。街の試乗屋の一感性で言えば、アクセルを操作すること自体を純粋に楽しむことができる数少ない日本車の中の一台といっていい。
一点余計なことを言えば、アクセルを離しても回転落ちがやや遅いという点は改善の余地がある。

6.エンジン音
ウインドウを全閉にした時のアイドリング音は、オートエアコンの僅かな風音にマスキングされ、ほとんど耳に届かない。なんともジェントルな室内空間である。オートエアコンをOFFにすると、アイドリング時のエンジン音は聞こえてはくるが、騒音レベルはよく抑えられていると感じられた。約5000rpm程度まで空ぶかしを試みたが、特段刺激的なサウンドを聞かせてやろうというものではない。だが運転席側のウィンドウを全開にし走り出してみると、アクセルのON、OFFに呼応し、ドライバーを適度に高揚させる重低音が耳に届くではないか!これは車好きにとってはなんともうれしい隠し味である。もうひとつ言えば、即座に6速までシフトアップし1500rpmから2000rpmの範囲内でアクセルを僅かに操作するとジェントルな重低音がいい具合に耳に届き、ドライバーは心穏やかな中に心地よいスポーティー感を味わうことも出来るのである。

7.ブレーキフィール
高速度域(街中での試乗速度であって高速道路上の速度ではない)および低速度域にかかわらず非常にコントロール性がよく街中を適度に気持ちよく転がすとしても、扱いやすく安心感が高いといえる。
一点余計なことを言うが、実はTypeSにはディーラーを変えて2度試乗をしたのだが、1度目のブレーキフィールは低速度域でコントロール性にやや難がありかっくん気味の傾向であった。2度目は、上述した通りの好フィールだったが、高性能ブレーキシステムだけにパッドとローターの当たり具合によって、特に低速度域でのブレーキフィールが変化することは至極当然かもしれない。

8.ステアフィール
18インチタイヤ装着の370GTも含めて総じて軽々しくなく、かつ緻密で、路面との接地感がいい感じでステアリングを通して伝わってくる。
V36スカイラインクーペTypeSに標準装着されている4WASのフィールだが、V36スカイラインセダンで味わった単に四つ角を曲がっただけで『おやっ!?これは良く切れる』といったフィールではなくはじめは装着されていることを疑ったほどだ。だがそうは言っても非装着車(370GT)と乗り比べてみると例えば80Km/h程度の速度域で極自然にステアリングを切り車線変更を試みたときに4WAS付車の方が車両の動きは確かに機敏であると感じられた。(スポーツチューンドサスペンションと19インチタイヤの作用もあろうが)街中で極自然なステア操作であってもそこそこスポーティーな感覚を味わえることが4WAS付車のメリットの一つといえそうだ。しかしながら、正直にいって走行安定性という意味での4WASの恩恵については、街中だけでは十分には分からない。恐らく高速度域(例えば180Km/h程度)における急な車線変更での挙動を見なければそのありがたみは分からないと想像する。

9.乗り味
低速度域における凹凸乗り越し時においては、巧みに角が丸められ心地よい節度感がドライバーに伝達されるという上々のフィールで、V35スカイラインクーペと比べると格段に落ち着いた乗りごこちへと進化したと感じられた。速度を上げていくとフラット感が高く、地に足が着いた乗り味を示す。スポーツチューンドサスペンション+19インチタイヤ装着車とは思えない乗りごこちの良さは、ボディー剛性の格上げが図られたことを肌で感じさせるものだ。

10.コーナリングフィール
中速コーナーを法定速度+2αでやや強気で攻めてみたが、この程度の速度域ではどうということはなく、路面に吸い付いていくような安心感をもって楽々とクリアーしていくのである。V36 スカイラインセダンよりも安心感という点では上かな?という印象をもった。それは、V36スカイラインセダンよりもリアの落ち着き感があるように感じられたからかもしれない。




以下、BMW335iクーペと外観寸法、動力性能面、価格面及び燃費について比較した。(下表参照)
車種 外観寸法 動力性能面 価格面 .燃費
(km/L)
全長 全幅 全高 A
重量/馬力
(Kg/PS)
B
重量/トルク
(Kg/Kg.m)
C
A×B
(Kg2/PS・Kg.m)
価格/リッター
(¥/L)
価格/馬力
(¥/PS)
V36SKYLINE COUPE TypeS 4655 1820 1390 5.0 44.6 223 1,147,024 12,731 9.4
BMW335i COUPE 4590 1780 1380 5.3 39.7 210 2,289,365 22,288 8.9
NOTE)

1.表記の燃費値は、V36SKYLINE Coupe;07/9現在、335i Coupe;07/9現在の夫々のメーカーカタログ記載値。
2.燃費値を除く表記の数値はV36SKYLINE Coupe;07/9現在のカタログ記載値&07/9現在のプライスリスト、335i Coupe;07/9現在のカタログ記載値&07/5現在のプライスリストに記載のメーカー公表値を用いた計算値

・10・15モード燃費は、V36スカイラインクーペが約5.6%よい。
・動力性能面は上表C値(動力性能の一つの指標)から335iクーペがやや優勢だが価格面に於いては、明らかにV36スカイラインクーペが優位である。(参考迄)
(価格面の比較にはV36スカイラインクーペタイプS:\4,239,400(消費税抜)、BMW335iクーペ:\6,829,019(消費税抜)を用いたが、詳細については、"日産V36スカイラインクーペ TypeS VS BMW335iクーペ装備&価格比較”を参照方


街の試乗屋のコメント(補足)
V36スカイラインクーペは、V36スカイラインセダンよりも落ち着きがあり、安定した速さを手に入れたと思う。そして、ハイパワー車だから速く走らせなければならないと車側から急かされることはなく、ゆったりと街中を流すこともまた楽しいと感じさせる大人の品性も兼ね備えているのである。V36スカイラインクーペは、懐の広い車であり、V36スカイラインクーペの楽しみ方は、ドライバーの自由な意思によって様々な表情を魅せてくれるものと思う。V36スカイラインクーペは他メーカーのフレーズをお借りして大変恐縮だが、まさに”大人しくない大人の車”なのである。

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