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PORSCHE
Equipment&Spec(ポルシェボクスター写真・主要装備&仕様)
Mar.2006
PORSCHE Boxster IMPRESSION
(ポルシェボクスター試乗インプレッション)

今回試乗した車は、2005年モデル(987)の新型ポルシェボクスター5速ミッション車である。
まず今回試乗した2005年モデル(987)と2002年モデル(986)についてディメンション、車両重量、動力性能面、価格面及び燃費等を比較してみた。<下表1)&2)参照>



NOTE)右表の数値はModel2002;01/9時点、
Model2005;05/1時点の公表値
1)ディメンション及び車両重量比較
項目 A B 差(A-B)
Model 2005
(987)
Model 2002
(986)
全長(mm) 4330 4315 +15
全幅(mm) 1800 1780 +20
全高(mm) 1295 1295 ±0
ホイールベース(mm) 2415 2415 ±0
トレッド(mm) 1490 1465 +25
1535 1530 +5
タイヤ 205/55ZR17 205/55ZR16 +1inch
235/50ZR17 225/50ZR16 +1inch,+10mm
車両重量(Kg) 1360 1300 +60


2002年モデルに対して2005年モデルでは全長、全幅、トレッド前/後の各ディメンションが拡大、車両重量は60Kg増加した。タイヤは、16インチ⇒17インチとなり後輪は225⇒235が奢られた。


2)動力性能面、価格面及び燃費比較
車種 動力性能面 価格面 .燃費
(km/L)
A
重量/馬力
(Kg/PS)
B
重量/トルク
(Kg/Kg.m)
C
A×B
(Kg2/PS・Kg.m)
価格/リッター
(¥/L)
価格/馬力
(¥/PS)
Model 2005(987) 5.67 49.45 280 2,016,765 22,579 9.3
Model 2002(986) 5.91 49.06 290 2,046,892 25,000 8.8
NOTE) 1.表記の燃費値はModel2002;01/9時点、Model2005;05/1時点の公表値
2.燃費値を除く表記の数値はModel2002;01/9時点、Model2005;05/1時点の公表値を用いた計算値

1)動力性能面を見るとトルク当たり重量(B)が2005モデルでは僅かに増加しているが、馬力当たり重量(A)では、吸排気系&エンジンマネージメントの改良による馬力アップ(220PS⇒240PS 9.09%up)が重量増加分(1300Kg⇒1360Kg 4.6%up)を抑え込み約4%減少した。上表C値(動力性能の一つの指標)で比較すると結果的には2005モデルの方が約3.4%低められ、2002モデルより優位だ。
2)リッター当たり価格及び馬力当たり価格で見ると2005モデルの方がお買い得感が高い。
3)燃費は、動力性能面のアップ(約+3.4%)を図りながら約5.7%向上している。

1.エクステリア
フォルムのアイデンティティをしっかりと守り継承していく手法は、911と同様だ。モデルチェンジ後のボクスターもまた、どこからみてもボクスターである。もちろんボクスターのオーナーの方は別として、ボクスターに精通していない人であれば、各部のディメンションの拡大すら気づかないかもしれない。しかしながら、新型ボクスターのエクステリアは、エンジン出力アップに伴い、その性能向上に合致したフォルムをさり気なく身につけ、空気抵抗係数も向上させているのである。(ボクスター空気抵抗係数;3.1⇒2.9)こうした機能美溢れるフォルムは、車好きの感性を刺激して止まない。
新型の変更点を間違い探しのように見つけていく作業は、ボクスターオーナーの特権である。なんとも羨ましい限りである。

2.インテリア
インテリアは、エクステリアに比べると986に対して変わったなということがすぐに分かる。センターの操作パネルは、シンプルであった986に比べて緻密で質感の高い印象のものへと変更された。反面986ではステアリングの真横にあった操作パネル(エアコン&オーディオ)が右下部に移動(特にエアコン操作類は、かなりシフトレバー寄りとなった。)してしまったので操作感では986に軍配があがりそうだ。その他細かいところでは、丸型3連メータの重なり具合が緩和されて各メータ間の間隔が広がった。又、986ではデジタルスピード表示が、左側のスピードメータ内であったが987ではセンターのタコメータ内に移され、視認性が向上した。

3.シート
着座位置が非常に低く、着座しただけで車好きをワクワクさせる。前後&リフターは手動、バックレストは電動だが、きめ細かく調整出来るので好みのドライビングポジションを選択することが可能だ。さらに987ではステアリングに高さ調整機構(986は前後のみ)が付加されたので、よりドライビングポジションの選択幅が広がった。
着座感は、腰がシートにすっぽりと収まる感じで、スポーツカーのドライビングに適した心地よさを提供してくれる。シートの硬さは、長時間座っていても恐らく間違いなくウェルカムな座りごこちであると断言できるものだ。要するに着座感に優れているので極端なことを言えば、着座していることを意識させないほど自然体で居られるシートなのである。

4.変速機(5MT)
クラッチの踏力は、決して重くはない。発進時に何処で繋がるかが掴みやすく、気難しさは皆無だ。左ハンドル車であり、右手でのシフトワークに気を使いながら発進させたが、ギアの入り方がスムーズで実に扱いやすい。シフトストロークは、あたかもエンジン回転数の落ち込みタイムを計算に入れているかのように適切だ。どのギヤポジションにおいてもエンジンのトルク感を味わうことが出来る為、シフトすること自体が楽しいのである。やはりティプトロでは味わうことができないマニュアルシフトの世界がここにある。

5.アクセルワーク
アクセルワークは、楽しいの一言に尽きる。アクセル開度に呼応し、ドライバーの意のままのおいしい加速が手に入るといった感じだ。深く踏み込めば、鋭くかつ滑らかなで力強い加速感がなんとも心地いい。それは、決して荒々しいものではなく、実に精緻華麗に仕事をこなしていくといった贅沢な加速感だ。

6.エンジン音
エンジンの吹き上がり感は、軽快かつ滑らかでトルクフルな力強さを持ち合わせている。そして背後で奏でる独特なメカニカルノイズを伴ったポルシェサウンドは、ドライバーを虜にする。このポルシェサウンドは、ボクスターとの濃密な一体感を見事に演出してくれるのだ。ポルシェのエンジンは精密機械という印象が強く、やはりその辺に転がっているエンジンとは明らかに一線を画しているという風格を感じる。

7.ブレーキフィール
ブレーキのいい車は、停止する行為そのものが楽しくなる。無理をしてアクセルを吹かし、信号をパスする必要はない。なぜならば、止まることが苦にならないからだ。しかしながら、停止能力に優れるだけに後続車の動きには充分注意する必要がある。当然ノーズダイブなどとは無縁で、止まりたい位置に車をコントロールできる。

8.ステアフィール
以前、乗せていただいた911(997)と比べるとボクスター(987)の方が軽快な印象だ。しかしながら、直進性は一級品の感がある。試乗コースにはワインディングと呼べるものはなく、コーナーを攻めるといったフィールは把握できなかったが、車線変更時の姿勢変化の落ち着き度、単に交差点の右・左折においても楽しさは、十分に伝わってくるのだ。これは、ブレーキング、そしてコーナーへステアリングを向け、アクセルを開けるという一連の動作が非常に正確に決まるからだろうと推測する。ドライバーは、精密機械を操っているという満足感にどっぷりと浸ることが出来るのである。

9.乗り味
一本筋が通っているという印象だ。足はしなやかに動き、ボディーは容易に揺すられない。しっかりとした母屋にドライバーは着座し、ドライビングを心から楽しめる。乗り心地は、車好きを刺激する要素のみをあたかも抽出してくれたかのように心地よいものだけが体に伝達されるのである。そして、フラット感も高く、ボディーが煽られないので恐らくロングドライブにおいても疲労感は極めて少ないだろうと想像する。




以下、BMW Z4 3.0iと外観寸法、動力性能面、価格面及び燃費について比較した。(下表参照)
車種 外観寸法 動力性能面 価格面 .燃費
(km/L)
全長 全幅 全高 A
重量/馬力
(Kg/PS)
B
重量/トルク
(Kg/Kg.m)
C
A×B
(Kg2/PS・Kg.m)
価格/リッター
(¥/L)
価格/馬力
(¥/PS)
BOXSTER(987,5MT)
4330 1800 1295 5.67 49.45 280 2,016,765 22,579 9.3
BMW Z4 3.0i(AT) 4100 1780 1285 6.06 45.75 277 1,846,257 23,810 10.6
NOTE)

1.表記の燃費値はBOXTER;05/1時点、BMW Z4;カタログN0.311 003 152 70(L) 2003GMによる公表値
2.燃費値を除く表記の数値はBOXTER;05/1時点、BMW Z4;04/4時点(価格)及びカタログN0.311 003 152 70(L) 2003GM05に記載の数値を用いた計算値

・動力性能面[上表C値(動力性能の一つの指標)]に限って言えば僅かにBMW Z4優勢、価格面では価格/馬力では僅かにBOXSTER優勢、価格/リッターにおいて、BMW Z4優勢、燃費においては、数値上ではBMW Z4が優位である。(参考迄)
・上表の数値上の結果だけではBOXSTERかZ4 3.0iかは選択出来ない。なぜならば、BOXSTERとZ4の性格は、大いに異なるからである。もし個人的選択を問われれば、迷わずBOXSTERである。


街の試乗屋のコメント(補足)
PORSCHE BOXSTERは、唯一無二の硬派なオープンスポーツカーであることが今回の試乗ではっきりと認識できた。シフトフィール、ブレーキフィール、ステアフィール、アクセルレスポンスなどの車を操る機能のすべてが精緻で精密機械を扱っているという印象が強いのだ。BOXSTERは、マニュアルで乗りたい。個人的にはマニュアル以外の選択肢は思い浮かばない。なぜならば、シフトレバーを通して伝わってくるボクスターとの対話感を外したくないからだ。
短時間の試乗時間の中で五感にビシビシと訴えてくる車は極稀だが、ボクスターは、その期待に十二分に応えてくれた一台といえる。


ポルシェボクスター2008モデル(2.7リッター,5MT)インプレッション
(08.3.23コメントに記載)


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