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PEUGEOT
Equipment&Spec(プジョー1007写真・主要装備&仕様)       
Apr.2006
PEUGEOT 1007 IMPRESSION
(プジョー1007試乗インプレッション)


今回試乗した車は、プジョー1007(1.6L)である。
プジョー1007の乗降用ドアは、運転席側、助手席側ともスライドドアのみで、これ以外の乗降用ドアは見当らない。”運転席、助手席の乗降用ドアは、スライドドア以外に別途必要だ!”という既成概念に捕らわれることなく、開発を押し進めた潔さに敬意を表したい。
以下、項目別にファーストインプレッションを報告する。

1.エクステリア
全体のフォルムは、ただ単に見たことがないというだけでは、魅力的とは言えないわけだが、プジョー1007は、車側からどうぞこちらへと誘惑されているようで何ともいえない魅力が感じられるのである。感心するのは全高が1630mmもあることを意識させないセンスのいいデザインだ。(ちなみにトヨタラクティスの全高は1640mmで差は10mmだが、全長はラクティスが3955mmに対して1007は、3730mmと225mmもの差があるにも関わらず、ラクティスの方が如何にもハイトな車であることを意識させられるのである。)
Cピラーを敢えて逆向きにすることにより、弓矢のように見えるフォルムは、大胆かつ新鮮に映る。スライドレールはこの弓矢のフォルムをなす為の一員としてその存在を主張しているかのようだ。(このアローライクフォルムは、両側スライドドアのコンセプトを受けてピニンファリーナが手がけたとのこと)
こうしたプジョー1007のおもいっきりのいいデザインをみせつけられるとこちらも痛快な気分になる。
ボディーカラーは06年春現在11色だが、06年夏にはラセルタ・イエロー(ゴールドっぽいイエローか?)が追加(全12色)され、選択する側を大いに悩ませ、楽しませてくれる。

2.インテリア
インテリアもまたエクステリアと同様に既成の枠に嵌らない解き放たれた空間が提供されているといった感じだ。面白いのは、インテリアを工具なしで簡単に変身させることが出来るカメレオキット(オプション)だ。このキットは、ダッシュボード上に設けられた2つのパネル、エアコンのエアベントリング、2つのドアパネル、2つのリアコンパートメントカバー、8つの座席パーツ(背もたれ&座面クッション)全18パーツをオーナーのその時の気分に合わせて交換出来るというものだ。カメレオキットのバリエーションは12、1セットのオプション価格は\30,000(税抜き)である。
他に”カラーベントトリム(バリエーションは11)”だけを交換するキット;\5600(税抜き)/1セットもある。
こういった遊び心にコストをかける発想は、ある意味尊敬に値する。
一つ気になったのは、シートベルトの位置だ。手を後ろの方に大きく伸ばさなければ届かない位置にあり少々戸惑った。これは、スライドドアゆえにBピラーが後方に位置するという必然性によるものだが感心出来ない。

3.シート
着座感は、どちらかというとソフトタッチであるが優しく包み込んでくれる居心地のよさを感じる。サイドの張り出しも適度にありスポーティ走行も受け入れてくれる。
調整シロの広いハイトアジャスターとダイヤル式のリクライニングによりドライビングポジションをきめ細かく設定出来るのはありがたい。
シートアレンジは、助手席のシートバックを前に倒しテーブルにしたり、後席の座面を跳ね上げてラゲッジスペースを確保するなどが可能だが、フィットやラクティスのようにリクライニングを後方にめいっぱいに倒すモード(フィット;リフレッシュ・モード)などはなく(室内長不足の為か?)やや残念。

4.変速機(自動5速2トロニック)
ミッションは、プジョーでは2トロニックと呼ぶクラッチペダルを持たないアクチュエーター式の5速ギヤミッションである。このミッションには、アクセル操作だけで自動変速してくれるオートモードとシフトレバーまたはステアリングのパドルスイッチでギヤを選択できるマニュアルモードがある。オートモードとマニュアルモードの切り替えにはスイッチ操作(シフトレバー後方にあるスイッチをプッシュ)が必要であるが、オートモードであってもパドルに触れれば、シフトup、シフトdownは可能ではある。但し、アルファのセレスピードのようにCITYモード(オートモード)状態からパドルに触れれば、マニュアルモードに完全に切り替わるということはない。従って、1007の場合には、オートモードがセレクトされている間は、パドルによる一時的な介入は出来るが基本的にはオートでのロジックに従属した形となる。(May.19.06補足whatsnew参照方)この2トロニックには通常のATのようなクリープ現象を伴わないので、ちょっとした坂道であってもサイドを引かなければならない。AT限定免許の方は要注意だ。
さて2トロニックのシフトフィールであるが、シフトアップの際にちょっとアクセルを戻してやらないと一瞬加速が途切れて、体が前のめりになり、スムーズに繋がらない癖は、アルファのセレスピードと同様だ。但し、昨今洗練されてきたアルファのセレスピードと比べると2トロニックの方がやや極端に感じた。特に1速で深めにアクセルを開けてから2速へのシフトアップの際にはかなりコツがいる。しかしながら個人的にはこれがまた大いに機械くささをドライバーに伝えてきて、これを克服するのもまた楽しいと感じた次第である。
シフトダウンは、パドルに触れるだけでちょっと大袈裟なぐらいのエンジンサウンドを轟かせ、見事にシフトダウンは完了する。ちょっといいすぎかもしれないが、気分はF1レーサーである。

5.アクセルワーク
変な言い方だが、加速させるには右足に意思を込めなければならない。アクセルペダルには、てこの理があまり利かないように感じた。つまり加速させる時に「行くぞ!」という意思を右足に込める必要があるのだ。すべての操作系が軽負荷となっている現代の車達を基準にすれば、これを不満に思う方が多いかもしれないが、安全上の観点からすれば本来、車はドライバーの強い意思(強い自覚症状)をもって動かすものとすれば、なかなか理に叶ったものだ。
したがって、1007のアクセルペダルを少々踏み込んだだけではゆったり、のんびりとした動きしかしてくれないのである。もちろん車重の関係も否定出来ないが、ガッカリする必要はまったくない。なぜならば、先ほどから言っているアクセルペダルに意思を込めさえすれば、1007の生き生きとした走りを手に入れることが出来るからだ。

6.エンジン音
静かな室内とは言えない。アクセルを深めに踏み込めば、はっきりとエンジン音は室内へ侵入してくる。昨今の日本車、フィット、ノートなどと比較してはいけない。日本車に慣れている方は、もうこれだけで選択肢から外してしまうかもしれない。音の評価については、個人差があるので難しい問題だが、個人的には加速感とエンジン音がリンクしているプジョー1007のエンジン音は、単なる騒音ではないと弁護しておきたい。

7.ブレーキフィール
またまたテコの理の話になってしまうが、コントロールしにくく、慣れが必要な印象を持った。踏み込み量をコントロールすることが、どうも難しいのだ。したがって、踏力の与え方によっては、かっくんブレーキぎみになったりもするのである。もちろん慣れの問題もあるが、ここにも止まるんだという意思を込めるドライバーのきめ細かい配慮が必要となりそうだ。

8.ステアフィール
電動パワステ(EPS)のフィールは、しっとりと落ち着いた感触でなかなかいい。電動パワステは軽すぎても駄目、妙な僅かなフリクションを感じても駄目、もちろん重すぎても駄目、中立付近の落ち着きのなさも駄目なのだが、試乗したプジョー1007の電動パワステのフィールは、悪さが感じられないのだ。
例によって、右・左にステアしてみるとしっとりしっとりと車が正確に向きを変えるのだ。その動きにはチープな印象がないのがいい。軽々しくない挙動といった感じで、品位がある。
中速コーナーを70Km/h程度でコーナリングしたときのフィールは、落ち着いたステア操作で事足りるもので、誰が運転しても許容してくれる懐が深いものを感じた。運転好きであれば、どうぞもっと攻めてくれて結構ですよという車側からのメッセージを感じ取ることができるもので、アクセルペダルに意思を込めたくなると報告しておく。

9.乗り味
ステアフィールのところでも述べた中速コーナーには故意に減速を促すための凹凸が設けられているのだが、プジョー1007は、何事もないかのようにさらりと通過していったのである。やはりプジョー1007は只者ではなかった。生粋のプジョーの猫足をしっかりと身につけていると感じさせてくれた。




以下、トヨタラクティス(G-Lpackage)と外観寸法、動力性能面、価格面及び燃費について比較した。(下表参照)
車種 外観寸法 動力性能面 価格面 .燃費
(km/L)
全長 全幅 全高 A
重量/馬力
(Kg/PS)
B
重量/トルク
(Kg/Kg.m)
C
A×B
(Kg2/PS・Kg.m)
価格/リッター
(¥/L)
価格/馬力
(¥/PS)
PEUGEOT 1007(1.6) 3730 1710 1630 11.8 84.7 999 1,374,261 20,194 -
TOYOTA Ractis 3955 1695 1640 10.5 79.3 833 1,042,781 14,182 18.0
NOTE)

1.表記の燃費値はTOYOTA Ractis;05/10時点のメーカー公表値
2.燃費値を除く表記の数値はPEUGEOT 1007;カタログNO.CA0801HT30K0601、TOYOTA Ractis;05/10時点のメーカー公表値を用いた計算値

・動力性能面[上表C値(動力性能の一つの指標)を見る限りではトヨタラクティス優勢]、価格面において、数値上ではプジョー1007を凌駕している。(参考迄)
・燃費は、プジョー1007のカタログには記載されていない。

街の試乗屋のコメント(補足)
車好きにとって、つまるところプジョー1007は、おもいっきり右足に意思を込めて走らせたくなる車なのである。 だがそうした行為は、エクステリアやインテリアの印象からは、いささか想像し難く相反した行為のように映るが、その矛盾がまた1007をいっそう面白くするのである。
もしプジョー1007とのお付き合いを真剣に考えるならば、この車の濃いキャラと己のハートを良く付き合わせてみることをお勧めする。なぜならば、プジョー1007のキャラは、ありきたりの車達とは明らかに一線を画しているからだ。


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