日産のゴーン改革路線は、横浜市長の中田さんもその手法に惚れ込み『横浜リバイバルプラン』なる計画を発表するなど経済界のみならずゴーンNRP(日産リバイバルプラン)旋風は、大いに日本を沸か
せ、日産ブランド再構築への扉を大きく開かせる原動力になったことは、もはや誰の目にも明らかである。日産の次なる目標は、180(1:グローバルに100万台の増販,8:営業利益率8%の達成,0:有利子負債ゼロ)であるという。03.2.26の新聞報道によると22ヶ月ぶりに販売台数で2位に返り咲き、03.05.11のテレビ朝日の報道では営業利益率が10.2%でトヨタ、ホンダの8%台を大きくリードしたとのこと。又、有利子負債はすでにゼロを達成しており、残る課題はグローバルに100万台の増販であるが、ゴーンさんはこれにも大いなる自信を示している。なぜ日本人経営者では出来なかったのだろうか?という愚痴も巷に溢れる今日この頃である。
上昇気流に乗った中、登場したV35 SKYLINE COUPEはSKYLINEブランド活性化への重要な使命をおった車である。さてその仕上がりぶりは如何に?興味津津である。
クーペのグレードは、350GTプレミアムと350GTのみで各々5ATと6MTが用意されている。GTプレミアムとGTとの相違点は、シート表皮とオーディオ程度である。車両本体価格は5ATでは350GT:\3,250,000、350GTプレミアム:\3,420,000で6MTでは各々\3,390,000、\3,560,000である。
6MT車にはbremboと18インチタイヤ(フロント225/45R18,リヤ245/45R18)が奢られ、その分割高にはなっているが3.5リッタークーペとしての付加価値に対して不満が出るプライスではなかろう。
ここでセダンとのディメンション比較をして見よう。全長4640mm(セダン比:-35mm),全幅1815mm(セダン比:+65mm),全高1395mm(セダン比:-75mm)である。又、ホイールベース/全長,トレッド/ホイールベース,全高/全幅は、各々クーペ:0.614(セダン:0.609),0.54(セダン:0.53),0.77(セダン:0.84)で、特に全高/全幅の数値はセダンと大きく異なる。参考にBMW
M3Coupeの数値を置いてみると各々0.608,0.56,0.77である。この数値からロングホイルベース化に関しては日産SKYLINEとしての個性が数値に現れていると言える。いずれにしてもクーペのエクステリアは、セダンとの差別化が明確でクーペとしての魅力を引き出すことに成功したといえる。一つ余計なことを付け加えれば、サイドビューをしばらく見ているとZのフォルムが脳裏をかすめるのだ。デザイン思想の統合化は、無意識の中に出てきたものと解釈するが、今後のデザインには気を付けた方がいいと苦言を呈しておきたい。(差別化大好きの街の試乗屋の戯言かもしれないが・・・・念のため。)
さて、インテリアではホールド性を重視したスポーツシート以外はセダンとの差異は見られない。マニュアルシフト車を選択すれば、クーペ専用のメータが手に入る。個人的には「スカイラインは、マニュアルでしょう」という概念とATシフト回りのデザインに好感を持てないこともあり、俄然マニュアルをお勧めしたい。又また余計なことだが、マニュアルを選択することによりステージアのエクステリアと少なからず決別できると思うのは私だけか?安全装備面ではセダンでオプションとなっていたSRSカーテンエアバックと運転席・助手席SRSサイドエアバックがクーペではグレードを問わず標準装備された。これはコスト的には大変なご苦労があったことと推察する(特に部品メーカーさん!)が、ユーザーサイドとしては大歓迎である。環境面ではセダンの350GT-8と同一型式のエンジンであるから当然だが超・低排出ガス規制レベルをクリヤーしている。
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ROAD IMPRESSION
試乗した車は、SKYLINE COUPE 350GT,5M-ATxである。ディーラーの方が試乗車の向きを変えるのを見ていると幅広のボディーには存在感があり、なかなか魅力的であると感じたことを白状しておこう。
まずシートについてであるが、下から支えてくれているという感覚がなくソフト過ぎる。このシートでは長距離ドライブには向かないのではないか?GTに見合ったシートに改善すべきである。実は、これにはいささか根拠がある。350GT-8を6時間レンタル試乗したのだが、3時間弱で臀部に明らかな疲労感を覚えたのだ。断っておくが、私の体重は60Kg程度である。
さて、走りの方であるが、以前試乗記でお伝えした350GT-8の乗り味には感動すら覚えたのだが、その350GT-8に対して更にドライバーへ分かりやすくかつ心地よく路面からのインフォメーションを伝達してくれるセッティングとなっているのだ。線引きが難しいのだが、乗り心地の良さはそのままに、但し心地よい節度感という形は、きちんと残してドライバーへ伝達するという技術が、今各メーカーに求められていると思う。
COUPEは、コーナーを攻めても面白い。試乗コースは、比較的中速コーナーが多く、この様なコーナーは、COUPEの得意とするところである。ステアリングに適度な心地よい反力を感じながらコーナーに進入し、徐々にアクセルを開けていくとステアリングを通して路面からの情報がいい感じで伝わってくる。この安心感からか、さらにアクセルを開けたくなるのである。試乗コース故、合法スピード+α?での範囲内での話にはなるが、ステア特性はニュートラルに近く路面との対話を楽しみながら、余裕のドライビングが楽しめるのである。セダンの350GT-8もそうだが、このCOUPEも又、首都高速のコーナーを得意とする車である。オーナーになられた方は、VDC(ビークルダイナミクスコントロール)が標準装備、前後荷重配分53:47ではございますが、ロングホイルベースの車ですので、限界時の挙動にはお気をつけ下さい。
5M-ATxは新型SKYLINE発売当初には、やや荒さを感じたが試乗したCOUPEでは洗練された印象をもった。Dレンジ固定でもマニュアルモードによる積極的なドライビングのいずれでも変速時のショックは非常に少なく、気持ちよくドライビングを楽しむことが出来る。
ここからは、やや気になるところを言わせていただくが、停止寸前のブレーキフィーリングが良くない。ATにありがちではあるが、停止間際にカックンブレーキになり易いのだ。恐らく、ATのロックアップがフリーになるところと関係があるのではと睨んでいる。せっかくの電子制御スロットルなのだからこの辺の制御系にもそろそろ気を使って欲しいものだ。350GT-8のレンタカーに6時間試乗した話をしたが、この現象が2時間連続走行後に特に顕著になってきたことを合わせて報告しておきたい。同じく350GT-8のレンタカーに限っての話だが、乗り心地に対して良い印象がなく、明らかにファーストインプレッションとは異なる突き上げ感の強いものであった。又、コーナリング時のアンダーステアも顕著であった。実は、このレンタカーの走行距離は、17000Kmであった。私が言いたいことは、例え少々手荒に扱われるレンタカーであってもたかだか走行距離17000Km程度で、ファーストインプレションと大きく変わって欲しくはないと言う事。要は、乗り味に付いてのファーストインプレッションがいいだけにセダンにしろクーペにしろこの乗り味の賞味期限がふと気になった。
最後に6速マニュアルの350GT COUPEにも試乗したので少し触れておくが、乗り心地は、かなり硬く個人的には乗り味の洗練度をそのままに18インチをはきこなして欲しかった。
6速マニュアルだがトルクフルなエンジンなので煩雑なシフト操作は、狭い街中では不要でドライバーは不完全燃焼か?6速マニュアルが真価を発揮するのは、首都高速又は、箱根ターンパイクの様な中高速コーナーが連続するところであろう。
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