私は、街の試乗屋さん

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June.2004

PEUGEOT307CC S16 IMPRESSION
(プジョー307CC試乗インプレッション)


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ある日のニュースペーパーにプジョー307CCが掲載され、一瞬目を奪われた。
CCとは、Coupe・Cabrioletのことで307CCには電動開閉式メタルトップが装備されている。
極めて個性的でお洒落な車だと言うのが第一印象だ。

PEUGEOT307CCのボディーは専用設計でディメンションは、以前試乗記で紹介したPEUGEOT307XTとは全長、全高、トレッド前/トレッド後が異なる。(下表参照)



車種 全長 全幅 全高 ホイールベース トレッド前/トレッド後
PEUGEOT307CC 4380mm 1760mm 1435mm 2610mm 1500mm/1510mm
PEUGEOT307XT 4210mm 1760mm 1530mm 2610mm 1495mm/1500mm
(差) +170mm ±0mm -95mm ±0mm +5mm/+10mm

307CCには、CC/Premium/PremiumAVN/S16の4グレードが設定されている。
CC/Premium/PremiumAVNの3グレードには、4AT,137ps、S16にのみ5MT,177PSのエンジンが組み合わされる。この177PSのエンジンは、PEUGEOT206RCにも搭載されている。
PremiumAVNのAVNは、AVナビゲーションを指し、ナビゲーションの他にテレビ、DVD、CD,MD機能付となる。残念だがS16にはAVナビゲーション装着車の設定がカタログ上なく、オプション設定もない。もう少し、融通の利く設定を望みたいところだ。
CCは、シンプルレザー、CC以外の3グレードはインテグラル・レザー・インテリアという仕様でシートをはじめインストルメントパネル上部、トリム、ドアーアームレストに本革が奢られる。このオールレザー仕様で統一された贅を尽くしたインテリアに身を置くと自然に心が落ち着き豊な気持ちになっていく。メタルトップをオープンにすれば、心までも解き放れ、さらに心地よく幸せな気分を味わうことが出来る。このような至福の時をPEUGEOT307CCのオーナーになりさえすれば、いつでもどこでもクーペorカブリオレのいずれでもいとも簡単に味わうことが可能となるのである。なんとも羨ましい限りである。
インテリアカラーは、4種類、ボディーカラーは、7種類である。残念だがインテリアカラーとボディーカラーとの組み合わせをユーザーが自由に選択することは出来ないのでメーカーが決めた選択肢の中からチョイスすることになる。まあここは、プジョーさんのセンスに委ねることにしよう。
さて、ここで主たる安全装備について触れておこう。(カタログより抜粋)
カブリオレ時の安全性を高める為に@Aピラーには強固なロールケージを内蔵Aリアにはオートマチックロールバー(横転を感知すると後席ヘッドレスト後部から瞬時に立ち上がる。)を装備。
運転席・助手席スマートエアバック(衝撃の強さによって膨らみ方を3段階に調整する。)&サイドエアバック(頭部と胸部を保護する。)、フロント・アクティブシートバック&ヘッドレスト(むち打ち症防止の為、追突時にヘッドレストが前方に傾く)を装備。他、ESP(エレクトロニック・スタビリティ・プログラム)、フロントシートベルト・プリテンショナー/フォースリミッター、ELR3点式リアシートベルトを装備。
上記は、何れも全グレード標準装備となっている。
さて、ここでPEUGEOT307CC S16と巷でよく知られている2台のメタルトップ車と価格面、動力性能面を比較してみよう。(参考まで)
車種 動力性能面 価格面
A
馬力当たり重量
(Kg/PS)
B
トルク当たり重量
(Kg/Kg.m)
C
A×B
(Kg2/PS・Kg.m)
リッター当たり価格
(¥/L)
馬力当たり価格
(¥/PS)
PEUGEOT
307CC S16
8.42 72.33 609 2,053,080 23,164
SLK230
KOMPRESSOR
7.01 48.25 338 2,092,415 24,365
SOARER
430 SCV
6.18 39.50 244 1,397,950 21,429
Note) 1.性能面の各数値は、04/6時点におけるメーカー公表値を用いた計算値である。
2.価格面の各数値の算出に当たっては、消費税を含まない車両本体価格を用いた。

動力性能面を上表C値(動力性能の一つの指標)で比較すると
PEUGEOT307CC S16
;609SLK230 KOMPRESSOR;338SOARER 430 SCV;244で数値上から判断する限りにおいて決して速さを競う車ではないことが分かる。次に価格面について”リッター当たり価格&馬力当たり価格”で比較するとPEUGEOT307CC S16;\2,053,080&\23,164SLK230 KOMPRESSOR;\2,092,415&\24,365SOARER 430 SCV;\1,397,950&\21,429PEUGEOT307CC S16は、SLK230 KOMPRESSORに比肩するほど高価な部類に入る車であることが分かる。尚、PEUGEOT307CC S16の消費税を含まない車両本体価格は\4,100,00である。




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ROAD IMPRESSION
試乗車は、PEUGEOT307CC S16・右ハンドル仕様車(S16には左ハンドル仕様車の設定もある。)である。初めにペダルの配置について言うとブレーキペダルとクラッチペダルが近く気持ち全体的に左側に寄っている感じがしたこととフットレストが無い等やや違和感を覚えた。各ペダル類の踏力は非常に軽い。シフトも軽く、ストロークは長めだ。フライホイールが軽量化されているとの説明を受け、なるほどスタート時の初期的にはトルクが細いと感じた。このことをほんの少し気にしながら車をスタートさせ、アクセルを深々と踏みつけると307CC S16のエンジンに火がつき一気に頂点へと登りつめていく。このときの実に滑らかに心地よくエンジンの回転数が上昇していくフィールは、他車にはないプジョー独特の味である。更に回転上昇に伴いスポーツ心を擽るエキゾーストノート(この音色は、ことさらにdB値を上げたものではなく、控えめ・・これがいい!)がアクセルを緩めることを忘れさせる。
プジョー307CC S16の足は、以前試乗記でお伝えした307XTに対して硬質な部分が取り除かれしなやかさが主体となった足回りとなっていた。例え凹凸があっても足が路面を舐めるように生き物のように動き、何事もなかったかのようにしなやかに通過していく。なぜこんなにも滑らかにしなやかに気持ちよく走れるのか?猫足とはよく言ったものだ。猫は、高い屋根や塀から地面に飛び降りても平気だ。猫の足は、しなやかにショックを吸収し猫の身体には何の変化ももたらさない。この足もまた、他車では決して味わえないプジョー独特のものである。
さらにブレーキがいい。これほど迄にいいとはちょっとした驚きだ。約110q/hからの比較的急な減速であってもドライバーの意志に忠実にイメージ通りの減速が可能である。しかも減速時のフィールが滑らかなことも特筆に値する。このブレーキであれば、ここだけの話しだが街中でのバトルに対して十分戦える武器を手にしたことになる。但し、追突されないようにする為のドライビング情報の収集には十二分な配慮が必要である。やや道に逸れた話しをしてしまったが、本題に戻そう。
ハンドリングだが、路面状況をびしびし伝えてくるものではないが、操舵感は素直で落ち着いた印象だ。直進時の修正に気を使うこと等一切ない。コーナリングについて言えば、比較的タイトなコーナーであってもロールが少なく攻めのコーナリングも可能だ。又、レーンチェンジ時の収まりもよく、安心感がある。
エンジンの回転フィール、しなやかな足回り、そして特筆もののブレーキのタッチ、これらのプジョー独特の世界に浸ると自分の中に潜む邪悪なもののすべてが浄化され、確かな心の豊かさを取り戻したかのような気になるから不思議だ。
アルファも又、世間から隔絶し、独特のドライビングの世界を作り出すことに長けたメーカーであるが、プジョーの世界との相違は、アルファが『心に潜むスポーツ心を否応なく駆り立てる車』であるのに対して、プジョーは、『心の奥底の豊かさを呼び起こしてくれる車』という点でドライビングのよろこびは、大きく異なると感じている。皆さんは、どう思われますか?
ある意味プジョーの世界は、日本の商業主義に対する挑戦のようにも取れる。なぜならば、今日の日本が忘れかけている『心の豊かさ』をプジョーが持ち合わせているからだ。

裏話)実は、307CC S16には2回乗せていただいた。1回目はオープンで、2回目は雨が降っていたのでクーペスタイルでの試乗となった。実は、オープンで試乗したS16は、明らかにエンジンの吹け上がりが悪く、外観写真は撮ったもののどうにも釈然としないので別のディーラーへ出向きクーペスタイルでの試乗となった。エンジンは上述の如くすこぶる元気でこれで試乗記が書けると内心ホットした。

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