私は、街の試乗屋さん

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May.2002
CIMA IMPRESSION
(日産シーマ試乗インプレッション)



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初代CIMAは、バブル絶頂期1988に華々しくデビューし、CIMA現象なるものを巻き起こした。
その当時、日本の豊かさを著す一つの指標としてCIMAがあった。そういう意味でCIMAは、日本車の中では類まれなブランドカーであったと言えるのだ。そして、高級車でありながらターボを効かせリヤを沈め豪快に加速させることが似合う、まさにドライバーズカーでもあった。ゴルフ場一番乗りを決めた思い出を語る方も多いのではないだろうか。
2001年1月、日産は日産自らのブランド再構築の意志を込めて新型CIMAを世に送り出した。
ボディーサイズをセルシオA,B仕様と比較すると全長×全幅×全高は、CIMA:4995mm×1845mm×1490mm、セルシオ:4995mm×1830mm×1490mmで全長&全高は同サイズ、違いは全幅で、CIMAが僅かではあるが15mm広い。
ボディーサイズは、肉薄しているもののセルシオの保守的なスタイリングとは一線を画す大胆で押し出しのあるデザインである。特にヘッドライトに世界初のマルチプロジェクターキセノンヘッドランプを採用したことで、どの車とも似ていないCIMA独自の世界を作り上げている。
高級車のオーナーにとっては、いかに他車と差別化が図れているかが重要で、そのことによって所有する喜びは大きく左右される。この点においてCIMAのデザインは、高級車としての一つの要件を満たしているといえる。
そしてヘッドライトという分かりやすい部位に世界初の技術を取り入れた試みは、デザイン強化に乗り出した新生日産の姿勢をマーケットに対して強く印象付けているとも言える。
インテリアについてもエクステリア同様にこれまでの日産には見られなかった斬新でアイデアに富んだワクワクするデザインが採用されている。
特にエアコン,オーディオ,TV,ナビゲーション等の操作系を平面的ではなくダッシュボードセンターに配置したデザインがいい。
又、ブルーに縁取りされた4連メータも遊び心を感じる仕上がりで、ドライバーズカーには相応しい。
車両本体価格は、3グレードがCELSIORと同額の設定となっており、CIMA450VIPとCELSIOR C仕様Fパッケージ:\6,950,000、CIMA450XVとCELSIOR C仕様:\6,150,000、CIMA450XLとCELSIOR A仕様:\5,400,000である。
ここで装備面の相違を今回試乗したCIMA450XVを例に同額のCELSIOR C仕様と比較してみた。
まずCIMAに有ってCELSIORには無い主たる装備としては、前席アクティブヘッドレスト,サイドターンランプ内蔵自動防眩サイドミラー,DVDナビゲーションシステム+TV,バックビューモニター(CELSIORオプション),リヤ電動サンシェード(CELSIORオプション),ゲート式電制マニュアルシフトである。
逆にCELSIORに有ってCIMAには無い主たる装備は、メモリー付サイドミラー,全ドアイージークローザー(CIMA450VIP:リヤドア標準装備),スライド連動ヘッドレストシステム,デュアルランバーサポート,インダッシュ6連奏CDオートチェンジャー(CIMAオプション),フロントフォッグランプ(CIMAオプション),タイヤ空気圧警報システムである。
CIMAには、DVDナビゲーション+TV&バックビューモニターが標準装備されており、装備面は充実している。又、前席アクティブヘッドレストを採用し、安全面での配慮も伺える。反面、フロントフォッグランプがオプションになっているが、これは、安全走行をフォローするアイテムと考えれば、メーカには標準装備を望みたいところだ。
この他にCIMAには世界初レーンキープサポートシステム(直線路車線維持支援装置)がオプションで用意されている。
一点、街の試乗屋から生意気を言わせていただくが、CIMAに3.0Lを設定すべきではなかったと思う。
なぜならば、CIMAという車のアイデンティテイーに反すると思うからだ。CIMA=フォースというコンセプトには例えターボであっても3.0Lは似合わない。
恐らく、ここでも売る側と作る側における葛藤があったものと推察するが、ここは車のコンセプトを是非貫いていただきたかった。そうすることによって日産というメーカーの意志がはっきりとユーザーに伝わるからだ。又、グレードが多くなれば、設計工数&製造管理コストに多大な影響を及ぼす。部品の共通化を掲げるNRP(日産リバイバルプラン)に反する行為とも思うのだが・・・。




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ROAD IMPRESSION
室内の静けさは、アイドリング音が耳に届かないレベルに迄到達していた。
空調関係の風音は、風量を変化させても耳障りな音はなく心地良い。
世間の喧騒との隔絶感は、かなりセルシオ的になったと思うが、インテリアの雰囲気(CIMA:洋間,CELSIOR:和室)の相違からか?静けさの中に心までも吸い込まれていく感のあるセルシオとは明らかに異なっている。それは、静けさの第一人者CELSIORの威厳によるものかもしれない。
CIMAは、アクセルを僅かに開けて緩々と走行させることも可能だ。
しかし、アクセル開度に対するタンジェントは、CIMA=フォースを強く意識させる立ち上がりの鋭さを感じるものだ。この辺の制御の思想は、CELSIORと明らかに異なるものを感じる。なぜならば、CELSIORと言う車のコンセプトに0-400m加速はナンセンスであるが、CIMAには密かな要件である。加速のさせ方一つをとってもCIMAとCELSIORは、性格を異にしている。
発進加速時の絹のような滑らかさは、CELSIORに軍配が上がるかもしれないが加速力はCIMAであろう。
CIMAかCELSIORかの議論は、高級車とは何か?に始まり恐らく2分してしまうだろう。両者の性格が異なるので議論事態がナンセンスかもしれない。
こうなるとユーザー自身で乗り比べて結論を出す方法が一番だ。
さて話しを戻すが、CIMAの中間加速はこの上なく気持ちがよい。例えば60Km/hからアクセルをグッと踏み込んだ時のV8 4.5Lエンジンの心地よい高まり、そのエンジンの高まりと同期するようにCIMA450XVは、解き放たれた矢の如く風を切り裂き、このまま加速を続けたいという誘惑に駆られるのである。公道であり?Km/hに達した時点でアクセルを緩めたが、まだまだ到達点が遥か先にあることは容易に想像できた。
車を速く走らせることに喜びを感じる人間には限りなく官能的であるが、乗り手には強い理性が求められる。新型CIMAの加速感は、他車では味わうことの出来ない心地良い刺激に満ちたものであることに間違いは無い。
CIMAの乗り心地であるが、フラット感は非常に高く、路面を舐めるような感覚を味わうことが出来る。そして、重要な要素であるドライバーへのインフォメーションもきっちりと残されており、ドライビングの喜びをスポイルせずに乗りごこちを高めたセッティングは○である。
ハンドリングであるが、例えば交差点をやや速度を速めてコーナリングさせた時の印象を申し上げれば、フロントがインに向いた後にやや遅れてリヤが踏ん張りを開始するような感覚がある。車両重量1770Kgの巨漢をタイトコーナーで軽快にコーナリングさせて欲しいという方に無理があると理解している。恐らくCIMAの得意技はコーナRの大きい高速コーナリングであろうと推測する。
ブレーキに関して欲をいえば、CIMA=フォースに見合った形で十二分な容量を確保して欲しいと思う。ブレーキを強化すればサスペンションにも及ぶかもしれないが、勝手を言わせていただければCIMAの乗り味を損なうことなく更なる向上をお願いしたい。
最後に新型CIMAは、カタログにも謳っているが確かにどの車にも似ていない。このアイデンティティこそ日産ブランド再構築にはかかせないものと思う。




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