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Nov.2002
BMW325i M-Sport IMPRESSION

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BMW3シリーズは、02年に新たに加わる316tiを含めて21モデルとなる。
モデルの大分類は、ti,Sedan,SedanM-Sport,xi(4WD),Ci(クーペ),CiM-Sport,カブリオーレ,カブリオーレM-Sport,ツーリング,ツーリングM-Sportからなる。
これらに組み合わされるエンジンバリエーションは、
ti:1.8&2.0L,Sedan&SedanM-Sport:2.0,2.2,2.5,3.0L,xi(4WD):3.0L,Ci&CiM-Sport:2.0&3.0L,カブリオーレ&カブリオーレM-Sport:3.0Lである。
ここでエンジンバリエーションについて整理しておこう。
01年から投入された330iを期に3.0Lが新たに投入され、328iに搭載されていた2.8Lに対して出力で193PS→231PS,トルクで28.5Kgm→30.6Kgmへとパワーアップされた。
更に320iには新たに2.2Lが奢られ、出力150PS→170PS,トルク19.4Kgm→21.4Kgmに引き上げられた。又、325iには323iに搭載していた型式25 6Sを見直し、トルクは25Kgmと同値であるが出力を170PS→192PSへとアップさせた。アップさせたという表現よりも95年当時の25 6Sの出力に戻したという方が適切かもしれない。但し、最大トルクの発生回転数は4200rpm→3500rpmに変更されている。
02年モデルの318i,318tiに搭載されるのは、新型2.0L直列4気筒で、このエンジンにはスロットルバタフライを使わずにインテークバルブのストローク量で流入空気量を制御する世界初のシステムが新規に採用された。ストローク量の制御はモータで行う。BMWではこのシステムを'バルブトロニック'と呼ぶ。従来318iに搭載されていたエンジン19 4Eと比較すると出力118PS→143PS,トルク18.3Kgm→20.4Kgmへと各々引き上げられ、燃料消費率(10.15モード)は、向上した。(カタログ値:10.4Km/L→11.0Km/L)
そして02年に新たに投入される316tiのエンジンは、1.8Lで出力115PS,トルク17.9Kgmである。
昨今のBMW車は、末尾の数字2桁が排気量を示しているとは限らないことがお分かりのことと思う。
さて今回試乗したのは、末尾の数字2桁が排気量と一致している2.5Lエンジンを搭載する325iM-Sport(01モデル)で、車両本体価格\5,060,000(02モデル:\5,110,000)である。
M-Sportは、スポーツサスペンション仕様となり車高が標準タイプに対して15mm低められ1400mmとなる。又、標準タイプに対してMスポーツステアリング,スポーツシート,カーボン調ブラックインテリアパネル,フロントスポイラー,サイド&リヤスカート,リヤスポイラー(02モデル〜),ホワイトターンインジケータレンズ,Mダブルスポークアロイホイール,ワイドタイヤ(225/45R17,245/40R17)等が装備され差別化が図られている。
付け加えると02モデルからキドニーグリル,ヘッドライトカバー廻り,リヤコンビネーションライト,リヤスカート等が小変更される。(Ci:変更なし)




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ROAD IMPRESSION
まず着座した印象だが、スポーツシートの硬さは適度(ノーマルシートより若干硬質感があるが、スポーティ走行には適している。)でサイドのサポート性もノーマルシートよりも高められている。電動シートの作動音は耳障りではなく作動速度も適切であった。電動シートの作動音についてはAudiも優れていたが、ドイツ=精緻との印象である。
まずアクセル開度に対するレスポンスであるが、発進時にドライバーのアクセル開度以上にシビアに反応することがあった。これは神経質な人間にしかわからないかもしれないが、ちょっと気になったので報告しておく。実は、約半年前に試乗した330iは、この印象がかなり顕著で発進時に僅かな開度を与えているのにもかかわらず、車はその意志に反して過敏に反応したという記憶がある。つい最近試乗した330iでは、前述した症状は消えており、意識したものか?車の個体差かは不明である。いずれにせよ私の生意気な注文は、発進時はあくまで滑らかにしていただきたいと思う。なぜならば、AT車は、MT車と異なりドライバーの意志がアクセルのみに委ねられているのでこの辺の配慮は個人的には重要と考えている。人の感性は限りなく贅沢なもので、前述したことと相矛盾することになるが、車が動き出してからのアクセル開度に対するエンジンレスポンスは、鋭いものであって欲しいのだ。
この点に関して言えば、325iM-Sportはドライバーの期待に応える鋭い加速感を味合うことが出来る。マニュアル操作が可能なステップトロニックでシフトチェンジを試みたがタイムラグを感じさせず結構楽しめる。
乗り心地は、しっとりと路面を舐めていくという感じで、非常にフラット感の高い乗り味だ。
但し、路面からのインフォメーションは、きちんとドライバーに伝達されるので、このことがドライビングを限りなく楽しいものにしてくれる。この辺の味付けは、他車では到達し得ないBMW M-Sportならではのものと思う。
ハンドリングであるが、乗り味との絶妙のコンビネーションという表現がぴったりと思う。
ステアリングを切るとごく自然に切った方向にしっとりと向きを変えるというふうに感じられるのは、如何なるステアリングの角速度に対しても的確に応答してくれるスポーツサスペンションのしつけのよさであろう。恐らくこのハンドリングと乗り味をもってすれば、適度に荒れた田舎路を最上のワインディングロードに変えてしまうことは容易だと想像する。
以前330iに試乗したが、フラット感はあるもののタイトコーナーではややロールを意識させられるもので、今回のM-Sportとはかなり印象が異なるものだった。BMWでワインディングロードを果敢に攻めたいとお考えの方は、標準仕様ではなくM-Sportをお勧めしたい。
ブレーキは、ドライバーが踏力をことさら意識することなくあらゆる場面で安心して減速出来ると感じさせるものでグッドだ。
BMWという車は、日本ではブランドイメージで購入する層が多いと聞いている。
あまりにブランドイメージが過ぎるとその商品は、極端に言えば神となり、絶対を獲得してしまうことになり、ちょっと間違うと本質を見極められない状態に世間が陥るという危険性を秘めていると考えなければならない。
ところがそんな心配をよそにBMWは、ブランドイメージの本質に関わる改善をきちんと02年モデルに反映しようとしているのだ。それは、足回りの強化,ステアリングギヤ比のクイック化及び
AT制御関係(詳細不明だがよりきめ細かい制御になるのではないかと期待する。又、これに関連してかステップトロニックのギヤチェンジ方向がシフトUP時に手前に変更される。)である。
こういった本質をきちんと見据えたメーカの謙虚な姿勢は、高く評価出来る。
従って、評価する側もブランドイメージに固執することなく本質を見極める冷静な目を持つことこそ重要なのである。


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